会社設立で作る定款を、紙ではなくPDF+電子署名の電子データで作成するのが電子定款です。紙定款だと印紙税¥40,000がかかりますが、電子定款にすると印紙税が一切かかりません。これは「免除」や「非課税」ではなく、より正確には「不課税」(課税対象の「文書」に最初から該当しない)という整理です。
電子定款は自分で作ることもできますし、マネーフォワード・freee・弥生の3社が提供する「かんたん会社設立」のような代行サービスを利用することもできます。自分で作る場合は機材費¥10,000〜¥30,000と10〜20時間規模の所要時間が必要で、サービスを使えば機材なしで電子定款の印紙税¥0メリットを得られる代わりに、サービスの仕様に従って入力する形になります。
ここでは、電子定款の「不課税」の法的根拠を条文付きで解説し、メリット・デメリット、自分で作る具体的な手順、サービス利用との損益分岐、合同会社・株式会社それぞれの観点での選び方まで整理します。
この記事の前提と免責
- 金額・条文は2026年5月時点。各社サービス料金・税率・公証人手数料は改定される可能性があるため、申込前に必ず公式サイトおよび法務局・公証役場で最新情報を確認してください
- 「自分で作る」場合の所要時間(10〜20時間)・機材費(¥10,000〜¥30,000)は経験・既存環境により個人差があります
- マネーフォワード・freee・弥生の電子定款代行サービスは、当サイトでは2026年5月時点でマネーフォワードのみアフィリエイト提携アクティブです。freee会社設立と弥生のかんたん会社設立は提携準備中です
結論:紙定款より¥40,000安くなるが、自分で作るなら機材コストとの比較が必要
電子定款を採用する3つのルートを比較すると、次のとおりです。
電子定款の主要ルート・1分で結論
- ルート1:自分で電子定款を作成 — 機材費¥10,000〜¥30,000(初回のみ)+所要10〜20時間。印紙税¥0メリットを完全享受。次回設立や他の電子契約でも機材を再利用できる
- ルート2:マネフォ/freee/弥生の代行サービスを利用 — 基本利用料が無料の場合があり、機材費は不要。入力作業1〜3時間で電子定款の印紙税¥0メリットを得られる。会計ソフトとの連携が一気通貫
- ルート3:紙定款を採用する — 印紙税¥40,000が発生。電子定款の機材も不要だが、節約効果はゼロ。現在では特別な事情がない限り選ぶ理由がない
電子定款を選ぶこと自体はコスト面でほぼ全員にメリットがあります。判断が分かれるのは「自分で作るか」「サービスを使うか」の2択で、これは時間コスト・機材の有無・複数法人設立の予定があるかなどで変わります。詳しくは後述の「自分で作る vs サービス利用」セクションで損益分岐を整理します。
なお、合同会社設立の費用全体を把握したい方は合同会社設立費用 完全ガイド、会社形態の選択から検討中の方は合同会社 vs 株式会社 比較もあわせて参照してください。
電子定款とは(紙との違い)
電子定款とは、会社設立時に作成する定款をPDFファイル+電子署名の形で作成・保管したものを指します。紙に印刷して実印で押印する「紙定款」と、記載内容そのものに違いはありません。違いは「媒体」と「署名の方式」の2点だけです。
| 項目 | 紙定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
| 媒体 | 紙(A4印刷) | PDFファイル |
| 署名・押印 | 発起人または社員の実印+印鑑証明書 | 発起人または社員の電子署名+電子証明書 |
| 印紙税 | ¥40,000(印紙税法 別表第一 第6号文書) | ¥0(不課税・印紙税法基本通達第2条) |
| 公証人認証(株式会社) | 必要(紙の定款を公証役場に持参) | 必要(PDFを公証役場のシステムに送信) |
| 公証人認証(合同会社) | 不要(会社法第30条の対象外) | 不要(同上) |
| 認証手数料 | 紙でも電子でも同額(株式会社のみ¥30,000〜¥50,000) | 同左 |
| 長期保管 | 会社で原本保管・物理的紛失リスクあり | 電子データで保管・改ざん防止効果あり |
表のとおり、電子定款の最大の経済的メリットは印紙税¥40,000がかからない点です。公証人認証の有無・認証手数料は紙でも電子でも変わりません(合同会社は認証不要、株式会社は認証必要)。
電子定款は2002年(平成14年)の電子署名法施行以降、公的書類でも採用が広がってきた仕組みで、会社設立の場面では電子定款専用の公証役場オンライン認証システムが整備されています。技術的に枯れた選択肢で、現在では特別な事情がない限り紙定款を選ぶ実務的理由はほとんどありません。
印紙税¥40,000が「不課税」になる根拠
電子定款を採用すれば定款の印紙税¥40,000がかからなくなるのが、合同会社・株式会社いずれの設立でも最大の経済的合理性です。ただし、この¥0の正確な法的位置づけは「不課税」であり、「非課税」とは厳密には異なります。
根拠条文(印紙税法第2条・基本通達第2条)
電子定款が印紙税の課税対象にならない理由を、条文ベースで整理します。
電子定款が不課税である根拠
印紙税法 第2条:「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には…印紙税を課する」
印紙税法基本通達 第2条:課税文書とは「文書により証されるべき事項が記載され」たものと規定
電磁的記録(PDF+電子署名)は有体物である「文書」に該当しない
→ 電子定款は印紙税法の課税物件に該当しない(不課税)
ポイントは「印紙税は文書に課す税金」であり、電子データは法律上の「文書」ではない、という構造です。国税庁の印紙税法基本通達第2条に「課税文書とは…文書により証されるべき事項が記載され…たものをいう」と明示されており、電磁的記録(PDF等)はここに含まれないと解釈されています。
一方、紙定款は印紙税法 別表第一 第6号文書として明確に課税対象になっています。同号には「定款」と記載され、「課税標準:一通につき四万円」「会社(相互会社を含む。)の設立のときに作成される定款の原本に限る」と定められています。会社設立時に紙で定款の原本を作成する限り、¥40,000の印紙税は法定の納付義務です。
「不課税」と「非課税」の違い
実務上は「電子定款は非課税」と俗に表現されることもありますが、根拠条文を引用する場面では「不課税」が正確です。両者の違いは次のとおりです。
「不課税」と「非課税」の整理
- 不課税:そもそも課税物件(=印紙税法の課税対象である「文書」)に該当しないため、印紙税を課す根拠が存在しない状態。電子定款はこれに該当
- 非課税:課税物件に該当するが、法律・通達が明示的に免除するケース(例:国・地方公共団体が作成する文書、印紙税法第5条が定める非課税文書)
結果的に「印紙税を払わなくてよい」点は同じですが、法的構造が異なります。電子定款を扱う公式文書(国税庁・法務省)や、税理士・公証人が記載する説明では「不課税」と表記されることが一般的です。
この「不課税」の解釈は、電子契約サービスの普及とともに国税庁が複数の質疑応答や通達で明確化してきた経緯があります。電子定款だけでなく、電子契約書全般(PDF+電子署名で締結する各種契約)も同じく不課税扱いになっており、これが電子契約サービス市場の拡大を支える税務上の前提になっています。
電子定款のメリット・デメリット
電子定款のメリット・デメリットを、紙定款と比較して整理します。「印紙税¥0」だけでなく、長期保管・複数部発行・改ざん防止などの運用面でのメリットと、機材・操作習熟という準備面でのデメリットがあります。
電子定款のメリット
- 印紙税¥40,000がかからない(紙定款との最大の差)
- 改ざん防止:電子署名後は内容を変更できない仕様(改ざん検知可能)
- 紛失リスクが低い:クラウド保管・複製保管が容易
- 写しの提供が容易:銀行口座開設・各種届出で定款写しを求められた際もPDFをそのまま提示可能
- 将来の定款変更時も電子で履歴管理しやすい(変更後の新定款を電子署名で再作成)
電子定款のデメリット
- 自分で作る場合の機材費(¥10,000〜¥30,000)が初期コスト
- マイナンバーカードと電子証明書が必要(市区町村役所での発行・更新)
- PDFの仕様や電子署名の操作で初回はつまずきやすい
- 公証役場のオンライン認証システムの操作習熟が必要(株式会社の場合)
- 電子証明書には有効期限あり(マイナンバーカードの電子証明書は5年・更新が必要)
メリット側に並ぶ項目は、いずれも紙定款にはない電子データならではの利点です。特に「印紙税¥40,000がかからない」は金額として確実に効く節約効果で、ここだけで電子定款を選ぶ理由として十分です。
デメリット側は自分で作る場合に集中する初期コストで、サービス利用ならほぼすべてが解消されます。後述の「自分で作る vs サービス利用」セクションで、どちらが向くかを判断できるように損益分岐を整理しています。
自分で電子定款を作る手順
準備物と機材費目安
電子定款を自分で作るために必要な準備物は次の4点です。すでに持っているかどうかで機材費の合計は大きく変動します。
| 準備物 | 入手方法・費用 | 備考 |
|---|---|---|
| マイナンバーカード(電子証明書付き) | 市区町村役所で発行(無料) | 発行に1か月程度。電子証明書は5年で更新 |
| ICカードリーダー | 家電量販店・通販で¥2,000〜¥5,000 | マイナンバーカードを読み取るUSB機器 |
| PDFに電子署名できるソフト | Adobe Acrobat 年間ライセンス¥20,000程度、または買い切り版¥20,000前後 | PDF電子署名対応の有償ソフトが必要。一部無料ツールでも対応可能だが操作・互換性で詰まりやすい |
| 申請用総合ソフト(法務省) | 法務省サイトから無料ダウンロード | 公証役場へのオンライン認証データ送信に使用 |
| 機材費合計の目安 | ¥10,000〜¥30,000 | 既に持っているもので変動。Acrobatライセンスが最大のコスト |
機材費の個人差が大きい点に注意
すでにマイナンバーカードと電子証明書を所有しており、Adobe Acrobatの業務契約がある方なら、追加コストはICカードリーダー¥2,000〜¥5,000のみで済みます。逆に「カードもAcrobatも未所有」だと¥25,000〜¥30,000規模が初期コストとして発生します。
機材は次回の会社設立や他の電子契約(取引先との電子契約書、行政手続きのオンライン申請など)でも再利用できるため、複数法人設立や電子契約活用を予定している方は自前環境の整備に投資する意味があります。一度きりの設立で電子契約も使わない方は、後述のサービス利用のほうがトータルで安く済みます。
作成・認証までの5ステップ
機材が揃ったら、次の5ステップで電子定款の作成・認証を進めます。
- ステップ1:定款の原案を作成(Word等)
会社法第27条(株式会社)または第576条(持分会社)が定める絶対的記載事項を含めて原案を作成します。商号・目的・本店所在地・出資される財産の価額・発起人/社員に関する事項などが必須項目です。テンプレートは法務省や日本公証人連合会のサイトで参考様式が公開されています。
- ステップ2:PDFに変換
WordファイルをPDFに変換します。Word標準の「PDF書き出し」機能で十分対応できます。PDF/A形式(長期保存用)が推奨されるケースもあります。
- ステップ3:Adobe AcrobatでPDFに電子署名を付与
マイナンバーカードをICカードリーダーで読み取り、電子証明書を使ってPDFに電子署名を付与します。発起人または社員全員の電子署名が必要です(複数人の場合は一人ずつ順番に署名)。
- ステップ4:公証役場へオンライン認証を申請(株式会社のみ)
法務省の申請用総合ソフトを使って、電子署名済みPDFを公証役場のシステムに送信します。公証役場の予約を取り、後日窓口でICカードを提示して認証を完了します(テレビ電話認証も一部公証役場で対応)。合同会社は認証義務がないためこのステップは省略できます。
- ステップ5:認証済み電子定款の受領
公証人が認証を完了すると、認証済みの電子定款データを受け取れます。これを法人登記申請時の添付書類(電子データで提出 or 一部紙面に印刷)として使用します。
初回の所要時間は10〜20時間が目安(株式会社の場合。合同会社は5〜10時間規模)
機材の準備・操作習熟・公証役場との調整を含めて、初回の所要時間は10〜20時間規模が目安です(株式会社の場合)。電子署名やPDFの仕様、公証役場のシステム操作の細部でつまずくケースが多く、想定より時間を要する場合があります。合同会社の場合は公証役場の認証手続き(ステップ4)が不要なため、所要時間は5〜10時間規模まで圧縮できます。
「サービスを使えば1〜3時間で完了する作業を、自分でやることで数倍以上の時間がかかる」のは事実です。時間を機材費の節約と引き換えにする選択になります。
サービスを使う場合(マネフォ・freee・弥生)
自分で電子定款を作る代わりに、マネーフォワード クラウド会社設立・freee会社設立・弥生のかんたん会社設立の3社が提供する「かんたん会社設立」を利用すると、機材なしで電子定款の印紙税¥0メリットを享受できます。3社いずれも基本利用料が無料の場合があり、画面に必要事項を入力するだけで定款・登記書類が自動作成され、公証役場への認証手配まで一気通貫で完結します。
3社サービスの共通機能(電子定款まわり)
- 電子定款の自動作成:入力項目から定款をPDFで自動生成、サービス側で電子署名を付与
- 公証役場との認証手配:株式会社設立の場合、公証役場のオンライン認証を代行(合同会社は認証不要のためサービス側で代行は省略)
- 機材は不要:マイナンバーカード・ICカードリーダー・Adobe Acrobatライセンスはユーザー側に不要
- 所要時間1〜3時間:画面の指示に従って入力するだけで、定款・登記書類・各種届出書が一括作成
- 会計ソフトとの連携:設立後はマネフォクラウド会計・freee会計・弥生会計NEXTへスムーズに移行
3社の電子定款代行費用について(2026年5月時点)
3社とも基本利用は無料の場合が多く、電子定款の作成・公証人認証手配の代行も基本料金内に含まれることが一般的です。ただし料金体系は改定される可能性があるため、申込前に各社公式サイトで最新情報を確認してください。
有料オプション(提携先の税理士・司法書士の紹介サービス等)を追加する場合は別途料金が発生することがあります。設立に必要な実費(株式会社の公証人認証手数料¥30,000〜¥50,000、登録免許税¥60,000〜または¥150,000〜)はいずれのサービス利用でも別途必要です。
3社のサービス内容・UX・連携先の会計ソフトの違いは、合同会社設立費用ガイドの「3社サービス比較」セクションで詳しく整理しています。電子定款の代行という観点では3社の機能差はほぼなく、設立後に使う会計ソフトの好みで選ぶのが現実的です。
自分で作る vs サービス利用 の損益分岐
「自分で作る」と「サービス利用」の損益分岐を、時間コストを時給換算した総コストで比較します。
| 項目 | 自分で作る | サービス利用(マネフォ/freee/弥生) |
|---|---|---|
| 電子定款の印紙税 | ¥0(不課税) | ¥0(不課税) |
| 機材費(初回のみ) | ¥10,000〜¥30,000 | 不要(¥0) |
| サービス利用料 | ¥0 | 基本無料の場合が多い |
| 公証人認証手数料(株式会社の場合) | ¥30,000〜¥50,000 | ¥30,000〜¥50,000(実費負担) |
| 所要時間(初回) | 10〜20時間 | 1〜3時間 |
| 初期コスト合計(合同会社・認証なし) | ¥10,000〜¥30,000+10〜20時間 | ¥0+1〜3時間 |
| 時給¥3,000換算の時間コスト | ¥30,000〜¥60,000 | ¥3,000〜¥9,000 |
| 時間込み総コスト(合同会社・時給¥3,000) | ¥40,000〜¥90,000 | ¥3,000〜¥9,000 |
| 2社目以降の追加コスト | 機材再利用で¥0+数時間 | 都度1〜3時間 |
時給¥3,000で換算した時間込み総コストでは、1社設立の場合はサービス利用が¥3,000〜¥9,000で圧倒的に安い結果になります。自分で作る場合、初期投資¥40,000〜¥90,000規模を投じることになり、印紙税¥40,000の節約効果と相殺してもサービス利用に勝てないケースが多いです。
ただし、機材は2社目以降の設立や他の電子契約で再利用できるため、複数法人を設立予定の方や電子契約を業務で活用する方は、初期投資が回収されていきます。一度きりの設立で電子契約も使わない方は、迷わずサービス利用が合理的です。
判断のショートカット
- 自分で作るのが向く人:マイナンバーカードと電子証明書をすでに持っている/Adobe Acrobatを業務で使っている/複数法人を設立予定/電子契約を業務で活用する/本業の時給換算が¥1,500未満で時間に余裕がある
- サービス利用が向く人:1社のみの設立/電子証明書もAcrobatライセンスもない/設立を最短ルートで完了させたい/設立後に会計ソフトをスムーズに導入したい/本業の時給換算が¥3,000以上で機会損失を避けたい
所要時間と機材費はいずれも一般的な目安です。Adobe Acrobatの料金プラン・マイナンバーカード発行スピード・公証役場の予約状況などにより、実際のコストには個人差があります。
合同会社の場合の特例(認証不要だが電子化メリットは別にある)
合同会社は会社法第30条の定款認証義務の対象外です。会社法第30条第1項は「定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない」と定めていますが、この条文は会社法第2編「株式会社」第1章「設立」内に置かれているため、規定の射程は株式会社の設立に限られます。合同会社・合資会社・合名会社など持分会社の設立は別途、第3編「持分会社」第1章「設立」(第575条以下)が規律しており、ここに第30条を準用する規定は置かれていません。結果として、持分会社の定款には公証人認証義務がない、という構造になっています。
この特例により、合同会社設立では公証人手数料¥30,000〜¥50,000がそのまま節約でき、公証役場への持参・オンライン認証の手間もありません。それでも電子定款を選ぶ意味は次の2点です。
合同会社が電子定款を選ぶ意味(2つの理由)
- 理由1:印紙税¥40,000がかからない — 合同会社の定款も紙で作成すれば印紙税法 別表第一 第6号文書として¥40,000の課税対象です。電子定款にすれば不課税で¥0になります。これが最大の経済的合理性
- 理由2:長期保管・改ざん防止 — 定款は会社の根本規則として長期保管する必要があり、紙より電子データのほうが紛失・改ざんリスクを抑えやすい。後日の定款変更や写しの提供にも対応しやすい
合同会社の場合、電子定款を採用しても認証手続きが省略できるため、自分で作る際の作業負荷も株式会社と比べて軽くなります。具体的には、ステップ4の「公証役場へのオンライン認証申請」が不要になり、所要時間は5〜10時間規模まで圧縮可能です(個人差あり)。
合同会社設立では、電子定款+自分で登記を選べば公的費用は¥60,000(登録免許税のみ。印鑑・印鑑証明書交付・登記簿謄本等の付随実費は別)で会社が作れます。合同会社の費用構造の詳細は合同会社設立費用 完全ガイド、合同会社と株式会社のどちらを選ぶかの判断軸は合同会社 vs 株式会社 比較で詳しく解説しています。
タイプ別・どの方法が向いているか
電子定款の作成方法は「自分で作る」「サービス利用」「司法書士に依頼」の3パターンに大別されます。それぞれが向く読者像を、状況別に整理します。
自分で作るのが向いている人
- すでにマイナンバーカードと電子証明書を持っている(電子定款の障壁が低い)
- Adobe Acrobatを業務で使っているか、業務契約がある
- 複数法人の設立予定がある、または電子契約を業務で活用する予定がある(機材投資が回収できる)
サービス利用が向いている人
- 1社のみの設立で、機材を新規購入する意欲がない
- 設立を最短ルートで完了させたい(所要時間1〜3時間で完結)
- 設立後の会計ソフト導入までスムーズに進めたい(マネフォ/freee/弥生のいずれかの会計ソフトを使う予定)
司法書士に依頼するのが向いている人
- 定款の文言・登記書類の不備リスクをゼロに近づけたい
- 本業の時給換算が¥5,000以上で、書類確認すら時間を取りたくない
- 株式譲渡制限・種類株式など、定款の高度なカスタマイズを伴う設立を行う
迷ったときの判断基準
1社のみの設立で電子契約活用予定もない方は、サービス利用が経済合理性で最も優位になるケースが多いです。マネフォ/freee/弥生の3社の選び方は、設立後に使う会計ソフトの好み(または既存利用)で決めるのが現実的です。電子定款の代行という観点では3社の機能差はほぼありません。
よくある質問(FAQ)
電子定款は本当に印紙税がゼロですか?
はい、ゼロです。ただし正確な法的位置づけは「非課税」ではなく「不課税」です。印紙税法第2条が課税対象としているのは「文書」で、電子データ(PDF+電子署名)は同条の「文書」に該当しないため、そもそも課税の根拠そのものが存在しない、という整理になります。国税庁の印紙税法基本通達第2条で「課税文書とは文書により証されるべき事項が記載されたもの」と明示されており、電磁的記録はこれに含まれません。実務上は「電子定款は印紙税がかからない」「印紙税¥40,000が不要」と説明されることが多く、結果は同じです。
電子定款は誰でも自分で作れますか?
理屈の上では誰でも作れますが、準備物が多くハードルは決して低くありません。必要なのは①マイナンバーカード(電子証明書付き・無料、市区町村役所で発行)、②ICカードリーダー(¥2,000〜¥5,000)、③PDFに電子署名できるソフト(Adobe Acrobatの有償ライセンスで年間¥20,000程度。買い切り版もあり)、④法務省の申請用総合ソフト(無料)、の4点です。機材コスト合計は¥10,000〜¥30,000程度(既に持っているかで変動)。さらに公証役場のオンライン認証手続きの細部でつまずきやすく、初回は10〜20時間規模を見込むのが現実的です。
マネフォ・freee・弥生の電子定款代行はいくらかかりますか?
2026年5月時点で、マネーフォワード クラウド会社設立・freee会社設立・弥生のかんたん会社設立は、いずれも基本利用料が無料の場合があります(最新の料金体系は各社公式サイトで確認してください)。公証人認証手数料(株式会社のみ)や登録免許税は別途実費負担です。電子定款の作成・公証役場への認証手配までを代行する形なので、自分でAdobe Acrobatライセンスやマイナンバーカードを揃える必要がなく、機材費¥10,000〜¥30,000が不要になります。一方で自分でやれば機材は次回設立や他の電子契約でも再利用できるため、複数法人を設立する予定がある方は自前環境の整備に意味があります。
合同会社でも電子定款にする意味はありますか?
合同会社は会社法第30条の定款認証義務がないため、公証人手続きそのものを省略できます。それでも電子定款にする意味は2つあります。第1に、印紙税¥40,000がかからない点(合同会社の定款も紙で作れば印紙税法 別表第一 第6号文書として¥40,000の課税対象)。第2に、定款は会社の根本規則として原本を長期保管する必要があり、電子データのほうが紛失・改ざんリスクを抑えやすく、後日の変更や写しの提供にも対応しやすい点です。コスト面で見れば、合同会社でも電子定款を選ぶことで¥40,000の節約効果があります。
電子定款にすると公証人手数料も安くなりますか?
いいえ、公証人手数料は紙定款でも電子定款でも同額です。株式会社の定款認証手数料は公証人手数料令第35条で、資本金100万円未満¥30,000/100万円以上300万円未満¥40,000/300万円以上¥50,000の3段階制(令和4年改正後)。電子定款を選んでも、株式会社の場合はこの認証手数料がそのまま発生します。電子定款で節約できるのは印紙税¥40,000のみであり、認証手数料部分は変わらない点に注意が必要です。合同会社の場合は認証義務自体がないので、公証人手数料はゼロです。
紙定款と電子定款で記載内容に違いはありますか?
記載すべき事項に違いはありません。会社法第27条(株式会社)・第576条(持分会社)が定める絶対的記載事項(商号、目的、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額、発起人/社員に関する事項など)は、紙でも電子でも同じです。違うのは「媒体(紙 vs 電磁的記録)」と「署名の方式(実印+印鑑証明 vs 電子署名+電子証明書)」だけ。電子定款はPDFで作成し、発起人または社員の電子署名を付与します。署名後はファイル内容を変更できなくなる仕様で、改ざん防止の効果も得られます。
まとめ:電子定款は「方法の選択」で実質コストが変わる
- ステップ1:紙定款と電子定款の差を理解する
紙定款¥40,000の印紙税が、電子定款なら¥0(不課税)。これだけで合同会社・株式会社いずれの設立でも¥40,000の節約効果が得られる。「不課税」は印紙税法第2条の課税対象(文書)に電子データが該当しないという法的構造による。
- ステップ2:自分で作るかサービス利用かを決める
1社のみの設立で機材を新規購入する意欲がないなら、サービス利用が時間込み総コストで¥3,000〜¥9,000規模と最も安い。複数法人設立予定や電子契約活用予定があるなら、自分で機材を揃えて作る投資が回収できる。
- ステップ3:サービスを使うなら3社(マネフォ・freee・弥生)から選ぶ
電子定款の代行機能では3社にほぼ差なし。設立後に使う会計ソフトの好み(マネフォクラウド会計/freee会計/弥生会計NEXT)で選ぶのが現実的。
- ステップ4:合同会社なら認証手続きが省略できる
合同会社は会社法第30条の認証義務対象外。電子定款にしても公証人手数料は元々ゼロだが、印紙税¥40,000の節約効果と長期保管の安心感のために電子定款を選ぶ意味は十分ある。
- ステップ5:設立費用全体の見取り図を確認する
電子定款の¥40,000節約だけでなく、登録免許税・公証人手数料・実費(印鑑・印鑑証明等)の総額を確認したうえで設立準備を進めるのが安全。合同会社設立費用 完全ガイドと必要書類チェックリストを参照。
電子定款を選ぶこと自体はほぼ全員にとってメリットのある選択です。判断が分かれるのは「自分で作るか・サービス利用か」の作成方法部分で、ここは本業の時間コスト・既存環境・設立予定数で決められます。最後に、設立費用全体・必要書類・会社形態の3つの論点も合わせて確認すれば、設立準備に迷いがなくなります。
出典・編集情報
このページは、以下の公的機関の公表情報を一次ソースとして作成しています。
- 印紙税法 第2条・別表第一 第6号文書(定款)
- 国税庁 印紙税法基本通達 第2条(課税文書)
- 公証人手数料令 第35条(定款認証手数料・令和4年改正後の3段階制)
- 会社法 第27条(株式会社の定款絶対的記載事項)・第30条(定款認証)・第576条(持分会社の定款)
- 法務省 申請用総合ソフト案内
執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年5月21日
電子定款の不課税の根拠と機材費・所要時間は、上記一次ソースおよび法務省・公証役場の公表情報をもとに記述しています。
このページは2026年5月時点の法令・各社サービス内容に基づいて記述しています。サービス料金・税率・公証人手数料・法務省システムの仕様は改定される可能性があるため、実際の電子定款作成・会社設立前に必ず各社公式サイトおよび法務局・公証役場・国税庁の公的情報で最新内容を確認してください。マネーフォワード・freee・弥生3社のうち、freee会社設立と弥生のかんたん会社設立は2026年5月時点で当サイトのアフィリエイト提携が準備中の状態です。直接申込リンクのアクティブ化は提携完了後を予定しています。