合同会社設立費用 完全ガイド|最安¥60,000の内訳とマネフォ/freee/弥生3社比較

合同会社設立の費用内訳を、登録免許税¥60,000・電子定款不課税(印紙税法基本通達)の一次ソース付きで解説。マネーフォワード・freee・弥生のかんたん会社設立3社を中立比較し、「自分で登記」との総コスト比較まで網羅します。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年5月21日

合同会社設立費用の主要数値(令和8年度・2026年)

最安は自分で登記¥60,000。電子定款なら印紙税¥0。株式会社との費用差は¥160,000。

  • 60,000円 合同会社最安費用 登録免許税のみ
  • 0円 電子定款の印紙税 不課税(印紙税法基本通達)
  • 160,000円 株式会社との費用差 登録免許税9万+認証3〜5万+公証人定款電子化等
合同会社設立費用 完全ガイド:最安¥60,000の内訳とマネフォ・freee・弥生3社比較を解説するアイキャッチ

合同会社(LLC)の設立費用は、自分で電子定款を作って自分で法務局に登記すれば登録免許税の¥60,000のみで完結します。これは会社法と登録免許税法の最低額で、令和8年度税制改正でも変更されていません。

ただし「自分で全部やる」には電子定款作成のための機材(Adobe Acrobat・マイナンバーカード・ICカードリーダー等)と20〜40時間規模の時間コストが必要です。この時間を節約するために、マネーフォワード・freee・弥生の3社が「かんたん会社設立」サービスを基本料金無料に近い形で提供しています。サービス利用なら実費¥65,000〜¥85,000(時間込み総コストでも¥80,000〜¥115,000)で電子定款の不課税メリットも享受しつつ、必要書類が自動作成されて時間コストを5〜10時間まで圧縮できます。

ここでは、合同会社設立費用の内訳を法令一次ソース付きで解説し、株式会社との費用差、マネフォ・freee・弥生3社の費用構造を中立的に横並び比較、「自分で登記」と「サービス利用」の総コスト比較、設立後にかかる固定費(均等割・社保・税理士顧問料)まで網羅します。後半の「タイプ別・あなたに向いている1社の選び方」で、UXの設計思想と会計ソフト連携先の観点から各社が向く読者像を整理しています。

この記事の前提と免責

  • 金額は2026年5月時点。各社サービス料金・税率は改定される可能性があるため、申込前に必ず公式サイトで最新情報を確認してください
  • 「自分で登記」の所要時間(20〜40時間)は経験・業種・準備状況により個人差があります
  • 本記事のサービス3社のうち、freee会社設立と弥生のかんたん会社設立は2026年5月時点で当サイトのアフィリエイト提携が準備中です。直接の申込リンクはマネーフォワード クラウド会社設立のみアクティブです(後述の「3社サービス比較」参照)

結論:最安は¥60,000・サービス利用なら実費¥65,000〜¥85,000

結論を先に出します。合同会社設立費用の3つのルートを比較すると次のとおりです。

合同会社設立費用・1分で結論

  • ルート1:自分で電子定款+自分で登記 → 実費¥60,000(最安)。時間コスト20〜40時間(個人差あり)
  • ルート2:3社の会社設立サービス利用 → 実費¥65,000〜¥85,000。時間コスト5〜10時間(時給¥3,000換算込みでも総額¥80,000〜¥115,000)。電子定款の不課税メリットを享受しつつ書類作成を自動化
  • ルート3:司法書士へ依頼 → 実費¥60,000+司法書士報酬¥50,000〜¥100,000=合計¥110,000〜¥160,000。時間コスト2〜3時間(書類確認のみ)

どのルートを選ぶかは「時間と費用のどちらを優先するか」「電子定款の機材を揃える意欲があるか」「設立後の会計ソフトとの連携を一気通貫で固めたいか」の3点で判断します。下記の「3社サービス比較」セクションと「自分で登記 vs サービス利用」セクションで、それぞれの選択肢を具体的に検討できます。

なお、法人化そのものを迷っている段階(事業所得800〜1,000万円帯で個人事業継続か法人成りかを検討中)の方は、まず法人化メリット判断ガイド法人化の決め方で損益分岐ゾーンを確認することをおすすめします。

合同会社設立費用の内訳

合同会社設立で必ず発生する費用は次の3カテゴリに整理できます。

出典:登録免許税法・印紙税法・会社法・各市区町村手数料(2026年5月時点)
費目金額根拠節約余地
登録免許税¥60,000〜(資本金×0.7%・最低¥60,000)登録免許税法 別表第一 第24号(一)ハ節約不可(法定額)
定款印紙税(紙定款の場合)¥40,000印紙税法 別表第一 第6号文書電子定款にすれば¥0(不課税)
公証人による定款認証不要(¥0)会社法 第30条(株式会社のみ義務)合同会社は認証義務なし
実印作成費¥3,000〜¥20,000実費安価な機械彫りで¥3,000〜可能
印鑑証明書¥300/通×数通市区町村役所の手数料マイナンバーカードでコンビニ取得可
登記簿謄本(後日取得)¥600/通×数通法務局の手数料必要時のみ取得
最安合計¥60,000〜¥85,000程度電子定款+自分で登記+必要最小限の証明書司法書士・サービス未利用

登録免許税6万円(最低額・資本金×0.7%)

合同会社の登録免許税は資本金の額×0.7%で計算され、その値が¥60,000に満たないときは¥60,000が適用されます(登録免許税法 別表第一 第24号(一)ハ)。この最低額¥60,000は会社設立費用の「絶対に逃げられない実費」で、令和8年度税制改正でも変更されていません。

登録免許税の計算(合同会社)

登録免許税 = 資本金の額 × 0.7% (ただし最低¥60,000)

例1:資本金¥1,000,000の場合 → ¥1,000,000 × 0.7% = ¥7,000 < ¥60,000 → 実際の納付額は¥60,000

例2:資本金¥5,000,000の場合 → ¥5,000,000 × 0.7% = ¥35,000 < ¥60,000 → 実際の納付額は¥60,000

例3:資本金¥10,000,000の場合 → ¥10,000,000 × 0.7% = ¥70,000 > ¥60,000 → 実際の納付額は¥70,000

多くの小規模設立(資本金¥1,000,000〜¥5,000,000程度)では、計算値より最低額¥60,000のほうが大きいため、実際の納付額は¥60,000で固定になります。資本金が¥8,600,000を超えるあたりから0.7%の計算値が¥60,000を上回り、登録免許税が増えていきます。

定款印紙税4万円(電子定款なら不課税)

合同会社の定款には印紙税¥40,000が課されます(印紙税法 別表第一 第6号文書)。これは紙で作成した定款の原本に対して課税される税で、合同会社・株式会社いずれも金額は同じです。

ただし、電子定款(PDF+電子署名)で作成した場合は印紙税¥0になります。これは「免除」や「非課税」ではなく、より正確には不課税(課税物件そのものに該当しない)です。詳しい論拠は後述「電子定款で印紙税4万円を不課税にする方法」セクションで解説します。

3社サービスはすべて電子定款対応

マネーフォワード・freee・弥生の3社の「かんたん会社設立」サービスは、いずれも電子定款での作成を標準にしています。サービスを利用すれば、自分でAdobe Acrobatや電子証明書を準備しなくても、電子定款の印紙税¥0メリットを享受できます。これがサービス利用の最大の経済的合理性です。

実費(印鑑・印鑑証明・登記簿謄本)

登録免許税・印紙税以外の実費は次のとおりです。これらは合同会社・株式会社共通で発生します。

設立に必要な実費(最小ケース)

  • 会社実印(代表者印):¥3,000〜¥20,000。機械彫り格安タイプは¥3,000〜、手彫り高品質タイプで¥10,000〜¥20,000程度
  • 銀行印・角印(任意):実印と同程度。「会社設立3点セット」で¥10,000〜¥30,000で販売される
  • 個人の印鑑証明書:1通¥300/市区町村役所窓口。マイナンバーカードがあればコンビニ¥200でも取得可
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書):1通¥600/法務局窓口、オンライン¥500。設立後の銀行口座開設等で数通必要
  • 会社印鑑証明書:1通¥450/法務局窓口、オンライン¥390。設立直後の各種届出で必要

これらの実費は合計で¥5,000〜¥25,000程度に収まります。会社実印を高価な手彫りタイプにすれば上振れしますが、設立直後の銀行口座開設や契約締結に支障が出るレベルではないため、まずは安価な機械彫りで間に合わせ、必要なら後から高品質印鑑に切り替えるのが現実的です。

株式会社との費用差(¥160,000の差はどこから出るか)

合同会社と株式会社の設立費用差は最低でも¥160,000あります。この差はどこから生じるのか、費目別に整理します。

出典:登録免許税法 別表第一 第24号(一)・公証人手数料令 第35条・会社法 第30条
費目合同会社株式会社差額
登録免許税¥60,000〜(最低)¥150,000〜(最低)¥90,000
定款認証手数料不要(¥0)¥30,000〜¥50,000(資本金額により3段階)¥30,000〜¥50,000
定款印紙税(電子定款の場合)¥0(不課税)¥0(不課税)¥0
実印・印鑑証明等の実費¥5,000〜¥25,000¥5,000〜¥25,000¥0
最安合計(電子定款+自分で登記)¥60,000〜¥220,000〜¥160,000

費用差の最大要因は登録免許税の最低額の差です。株式会社の登録免許税は資本金×0.7%(最低¥150,000)と定められており(登録免許税法 別表第一 第24号(一)イ)、合同会社の最低¥60,000より¥90,000高くなります。

公証人手数料は¥30,000/¥40,000/¥50,000の3段階制(令和4年改正)

株式会社の定款認証手数料は、令和4年(2022年)1月1日施行の公証人手数料令第35条改正で3段階制になっています。資本金等の額により次のとおり:

  • 資本金100万円未満:¥30,000
  • 資本金100万円以上300万円未満:¥40,000
  • 資本金300万円以上:¥50,000

「定款認証は一律¥50,000」と書かれている情報は改正前(令和3年12月以前)の情報です。資本金100万円未満で株式会社設立する場合は、最安¥30,000になります。本記事の比較表では資本金100万円未満を想定して¥30,000を採用しています。

合同会社は会社法第30条の定款認証義務の対象外のため、公証人による定款認証が不要です。これにより¥30,000〜¥50,000の公証人手数料がまるごと節約できます。「合同会社は手続きがシンプル」と言われる所以のひとつがこの認証不要にあります。

設立費用以外にも、株式会社は決算公告義務(会社法第440条)役員任期(会社法第332条・原則2年・最長10年)があり、年間の運営コストに差が出ます。決算公告を官報に掲載すると年間¥60,000〜、役員任期満了時の改選登記で¥10,000〜¥30,000が発生します。合同会社にはこれらの義務がありません。法人化メリット判断ガイドで詳しい運営コスト比較を確認できます。

3社サービス比較(マネフォ・freee・弥生)

会社設立を効率化する選択肢として、マネーフォワード・freee・弥生の3社が「かんたん会社設立」サービスを提供しています。3社いずれも基本利用は無料で、必要事項を画面に入力するだけで定款・登記書類が自動作成され、電子定款の認証手配まで一気通貫で完結します。

3社サービスの背景にあるビジネスモデルは「会社設立はフックで、設立後の会計ソフト契約で収益化する」というクロスセル設計です。マネーフォワード→マネーフォワード クラウド会計、freee→freee会計、弥生→弥生会計NEXT、というそれぞれの会計ソフトへのスムーズな移行が用意されています。

マネーフォワード クラウド会社設立

マネーフォワード クラウド会社設立は、マネーフォワード社が提供する会社設立支援サービスです。基本利用は無料、電子定款で印紙税¥0、必要書類の自動作成、法人銀行口座開設までのサポートまで一気通貫で対応しています。

マネーフォワード クラウド会社設立の主な特徴

  • 基本料金無料。電子定款の公証人認証手数料(株式会社のみ)と登録免許税は別途実費負担
  • 必要事項を画面で入力するだけで定款・登記書類・各種届出書が自動作成
  • 電子定款対応で印紙税¥40,000がかからない(不課税)
  • 法人銀行口座開設サポート(GMOあおぞらネット銀行・住信SBIネット銀行等と連携)
  • 会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」への移行がスムーズ(設立後そのまま記帳開始可能)

freee会社設立

freee会社設立は、freee社が提供する会社設立支援サービスです。「5分で書類が完成」をうたう手軽さが特徴で、freee会計とのシームレスな連携が強みです。

freee会社設立の主な特徴

  • 基本料金無料。公証人認証手数料・登録免許税は別途実費負担
  • 入力フローが簡素。「5分で書類が完成」と公式が訴求するUX設計
  • 電子定款対応で印紙税¥40,000が不課税
  • freee会計との連携で、設立後すぐに記帳・申告まで一気通貫
  • サポートはチャット・電話・メールで対応(無料プランの範囲)

弥生のかんたん会社設立

弥生のかんたん会社設立は、会計ソフトの老舗である弥生株式会社が提供する会社設立支援サービスです。会計ソフトとしての知名度・実績が長く、初心者向けのガイドが充実しています。

弥生のかんたん会社設立の主な特徴

  • 基本料金無料。公証人認証手数料・登録免許税は別途実費負担
  • 書類作成ガイドが丁寧。初心者向けの注釈が手厚く、専門用語に詳しくなくても進められる設計
  • 電子定款対応で印紙税¥40,000が不課税
  • 弥生会計NEXTとの連携で設立後の記帳もスムーズ
  • 会計ソフトの老舗ブランドとしての安心感(中小企業の導入実績が長い)

3社横並び比較表

3社の費用構造とサポート範囲を横並びで整理します。次の見出しで3タイプに分けて、各社が向く読者像を提示します。

出典:各社公式サイト(2026年5月時点)。料金プラン・サービス内容は改定される可能性があるため、申込前に必ず各社公式サイトで最新情報を確認してください
比較項目マネーフォワードfreee弥生
基本利用料無料無料無料
電子定款対応◯(印紙税¥0)◯(印紙税¥0)◯(印紙税¥0)
合同会社の設立実費¥60,000〜(登録免許税のみ)¥60,000〜¥60,000〜
株式会社の設立実費¥220,000〜(登録免許税¥150,000+認証¥30,000〜¥50,000+実印等¥20,000)¥220,000〜¥220,000〜
書類自動作成定款・登記書類・税務署届出定款・登記書類・税務署届出定款・登記書類・税務署届出
法人銀行口座開設サポート◯(複数行と提携)◯(複数行と提携)
会計ソフト連携MFクラウド会計freee会計弥生会計NEXT
UXの特徴網羅型・項目漏れを防ぐ簡素・5分入力初心者ガイド充実
当サイト経由の申込◯(提携中)準備中準備中

3社の中で「明らかにこれが優れている」というサービスはありません。料金体系はほぼ横並び、電子定款対応・書類自動作成・法人口座開設サポートも各社が標準装備しています。差が出るのはUXの設計思想(網羅型 vs 簡素型 vs 初心者ガイド型)と、設立後に使う会計ソフトの好みの2点です。

タイプ別・あなたに向いている1社の選び方

3社に優劣はありませんが、UXの設計思想と設立後の会計ソフト連携先で「どんな人に合うか」の傾向は分かれます。以下の3タイプから、自分に当てはまる項目が多いサービスを選ぶのが現実的です。

マネーフォワード クラウド会社設立 が向いている人

  • 入力漏れチェックを徹底したい・項目の抜けを防ぎたい(網羅型UX)
  • 設立後にネット銀行(GMOあおぞら・住信SBIなど)で法人口座を開設したい
  • すでにマネーフォワード クラウド会計を使っている、または使う予定がある

freee会社設立 が向いている人

  • とにかく短時間で書類を完成させたい(公式は「5分で完成」を訴求)
  • シンプルで簡素なUI・最小限の入力ステップを好む
  • すでにfreee会計を使っている、または使う予定がある

弥生のかんたん会社設立 が向いている人

  • 会社設立の手続きが初めてで、専門用語の解説から欲しい
  • 老舗会計ソフトブランドの安心感・サポート体制を重視する
  • すでに弥生会計を使っている、または使う予定がある

迷ったときの判断基準

すでに使い慣れた会計ソフトがある方は、その提供元の会社設立サービスを選ぶのが、設立後の記帳・申告までの移行コストを最小化する観点で最も合理的です。会計ソフトが決まっていない方は、上記3タイプの中で「自分に当てはまる項目が多い」サービスを1社選んで進めるのが現実的です。3社を併走させて比較するのは推奨しません:登記書類は1社で完結させる必要があり、途中で別サービスへ乗り換えると入力データが引き継げず、結果的に作業時間が増えます。

自分で登記 vs サービス利用 の総コスト比較

「自分で登記」と「サービス利用」のどちらが得かは、実費+時間コストの合算で判断するのが正解です。時間を時給換算して総コストを比較します。

所要時間と時給は個人差あり。時給¥5,000以上の方は司法書士やサービス利用のメリットが大きい。時給¥1,500以下なら自分で登記の総コストが最も安くなる傾向
項目自分で登記マネフォ/freee/弥生 利用司法書士へ依頼
登録免許税¥60,000¥60,000¥60,000
定款印紙税(電子定款)¥0¥0¥0
サービス利用料¥0¥0(基本無料)司法書士報酬 ¥50,000〜¥100,000
電子定款用機材費(Adobe・ICカードリーダー等)¥10,000〜¥30,000(初回のみ)不要不要
実印・印鑑証明等の実費¥5,000〜¥25,000¥5,000〜¥25,000¥5,000〜¥25,000
実費合計¥75,000〜¥115,000¥65,000〜¥85,000¥115,000〜¥185,000
所要時間(目安)20〜40時間5〜10時間2〜3時間
時給¥3,000換算の時間コスト¥60,000〜¥120,000¥15,000〜¥30,000¥6,000〜¥9,000
時間込み総コスト(時給¥3,000)¥135,000〜¥235,000¥80,000〜¥115,000¥121,000〜¥194,000

時給¥3,000で計算した時間込み総コストでは、サービス利用が¥80,000〜¥115,000で最安になります。電子定款用の機材を新規購入する必要があるか、時間に余裕があるかで判断は分かれます。

「自分で登記」が向いている人・向いていない人

向いている人

  • すでにマイナンバーカードと電子証明書を持っている(電子定款の障壁が低い)
  • 本業が時間に余裕があり、20〜40時間を捻出できる
  • 会社設立のプロセスを自分で経験して理解しておきたい

向いていない人

  • 本業の時給換算が¥5,000以上で、20〜40時間の機会損失が大きい
  • 定款の文言・登記書類の不備リスクをゼロに近づけたい
  • 電子定款の機材を新規購入する意欲がない(Adobe Acrobatの初年度ライセンス料だけで¥20,000規模)

所要時間(20〜40時間)は一般的な経験者・準備状況をもとにした目安です。電子定款の機材や手続きに不慣れな場合、初回はこれ以上かかる場合があります。実費・時間コストともに個人差が大きい点をご了承ください。

電子定款で印紙税4万円を不課税にする方法

電子定款を採用すれば定款の印紙税¥40,000がかからなくなるのが、合同会社・株式会社いずれの設立でも最大の経済的合理性です。ただし、この¥0の正確な法的位置づけは「不課税」であり、「非課税」とは厳密には異なります。

「不課税」と「非課税」の違い(正確な表現)

印紙税法上の用語整理は次のとおりです。

  • 不課税:そもそも課税物件(=印紙税法の課税対象である「文書」)に該当しないため、印紙税を課す根拠が存在しない状態
  • 非課税:課税物件に該当するが、法律・通達が明示的に免除するケース(例:国が作成する文書)

電子定款は印紙税法第2条の「文書」に該当しないため不課税が正確です(印紙税法基本通達第2条)。実務上は「電子定款は非課税」と俗に呼ばれることもありますが、根拠条文を引用する場合は「不課税」と表記するのが正しい運用です。

根拠条文を整理します。

電子定款が不課税である根拠

印紙税法 第2条:「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には…印紙税を課する」

印紙税法基本通達 第2条:課税文書とは「文書により証されるべき事項が記載され」たものと規定

電磁的記録(PDF+電子署名)は有体物である「文書」ではない

→ 電子定款は印紙税法の課税物件に該当しない(不課税)

自分で電子定款を作成する場合は、以下の準備が必要です。

自分で電子定款を作成するための準備物

  • Adobe Acrobat(有償ライセンス):PDFに電子署名を付与するため必要。Acrobat Standardの年間ライセンスで¥20,000〜程度
  • マイナンバーカードと電子証明書:定款への電子署名に使用。発行・更新は市区町村役所
  • ICカードリーダー:マイナンバーカードを読み取るUSB機器。¥2,000〜¥5,000
  • 公的個人認証サービスのソフトウェア:法務省・公証役場の電子認証連携用
  • 公証役場での認証手続き(株式会社のみ):合同会社は認証不要

これらを揃えて自分で電子定款を作成すれば印紙税¥0で済みますが、初回の機材購入・操作習熟・PDFの仕様の細部で詰まることがあります。マネーフォワード・freee・弥生の3社サービスは、これらの機材を持たないユーザーでも電子定款の印紙税¥0メリットを得られるように、定款作成と公証人認証手配を代行する形でサービス提供しています。これが「サービス利用で印紙税¥40,000が浮く」と訴求される根拠です。

設立後の費用(均等割・社保・税理士顧問料)

合同会社設立費用は実費¥60,000〜¥85,000で済みますが、設立後に継続的に発生する固定費のほうが大きな影響を及ぼします。主な固定費は次の3つです。

出典:地方税法第52条・第312条/健康保険法・厚生年金保険法/税理士業界相場(2026年5月時点)
費目年額備考
法人住民税均等割¥70,000/年〜道府県民税¥20,000+市区町村民税¥50,000。赤字でも発生
社会保険料(法人負担分)役員報酬の約15〜17%役員報酬月額¥600,000なら法人負担分は年101万円規模
税理士顧問料¥200,000〜¥600,000/年月額¥15,000〜¥50,000+決算料が一般的

均等割¥70,000は道府県民税¥20,000+市区町村民税¥50,000の合算(標準税率)

法人住民税均等割の最低額¥70,000は、地方税法に基づく標準税率の合算値です。

  • 道府県民税均等割:年額¥20,000(地方税法第52条・資本金等の額1,000万円以下)
  • 市区町村民税均等割:年額¥50,000(地方税法第312条・資本金等の額1,000万円以下・従業員50人以下)
  • 東京23区内の場合は都税として「都民税+特別区民税」を東京都が一括徴収する仕組みで、税額の根拠条文は同じです

標準税率のため、自治体ごとに1.2倍以内の超過課税が適用される場合があります。具体額は本店所在地の自治体(都道府県・市区町村)の最新案内で確認してください。

社会保険料は法人化した瞬間から強制加入になります(健康保険法第3条第3項・厚生年金保険法第6条)。1人法人でも代表者1人の役員報酬に対して、健保+厚年の保険料が労使折半で発生します。法人負担分は役員報酬の約15〜17%で、損金算入は可能ですが現金流出は確実に発生します。具体的な試算は役員報酬と社会保険料の関係役員報酬と社会保険料シミュレーターで確認してください。

税理士顧問料は法人会計の複雑化に伴いほぼ必須化します。月額¥15,000〜¥50,000の顧問料に加え、決算料として¥50,000〜¥200,000が年1回発生するのが相場です。会計ソフトを使って自分で記帳することは可能ですが、法人税申告書(別表)の作成は専門知識が必要なため、決算時のスポット依頼でも¥100,000〜¥200,000規模になります。役員報酬の最適化や事前確定届出給与の届出など、税理士相談の費用対効果が高い領域もあわせて検討すると経済合理性が高まります(事前確定届出給与の使い方参照)。

会社設立サービスを使うべき3条件

3社のかんたん会社設立サービスが特にコスパに合うのは、以下の3条件のいずれかに該当するケースです。

会社設立サービスを使うべき3条件

  • 条件1:時間優先派(本業に集中したい) — 本業の時給換算が¥3,000以上で、20〜40時間の機会損失を避けたい。サービス利用なら5〜10時間まで圧縮可能
  • 条件2:不安解消派(書類ミスを避けたい) — 定款の文言・登記書類の不備で法務局から差し戻されたくない。サービスは自動作成と複数のチェックで不備リスクを大幅に減らせる
  • 条件3:会計ソフト連携派(設立後の会計まで一気通貫で固めたい) — 設立後すぐに記帳・申告まで切れ目なく進めたい。マネフォ/freee/弥生それぞれの会計ソフトとシームレスに連携

逆に、すでに電子定款の機材を持っていて時間にも余裕があり、設立費用を1円単位で削りたい方には「自分で登記」のほうが向いています。サービスは「時間と引き換えに設立費用を圧縮しつつ、書類不備リスクをゼロに近づけたい」ニーズに最適化されています。

よくある質問(FAQ)

合同会社設立は本当に¥60,000でできる?

はい、自分で電子定款を作成し、自分で法務局に登記申請すれば、登録免許税の最低額¥60,000のみで設立できます(登録免許税法 別表第一 第24号(一)ハ)。資本金860万円超になると0.7%の計算値が¥60,000を超えるため設立費用は増えますが、資本金1〜数百万円の小規模設立であれば実費¥60,000+実印作成費数千円〜数万円・印鑑証明書数百円程度が基本です。ただし定款作成・登記書類準備に20〜40時間(個人差あり)の時間コストがかかる点は考慮が必要です。

電子定款は自分で作れる?

作れますが準備物が多くハードルは高めです。電子定款の作成には、①Adobe Acrobat(PDFに電子署名するため有償ライセンス)、②マイナンバーカードと電子証明書、③ICカードリーダー、④法務省・公証役場の電子認証ソフトの導入、が必要です。これらを揃えてもPDFの仕様や認証手続きの細部で手戻りが発生しがちで、合計の時間コストは10〜20時間規模になりがち。マネフォ・freee・弥生のかんたん会社設立は、電子定款の作成と公証人認証手配までを代行する形で提供されているため、Acrobatライセンスや電子証明書がない人でも電子定款の印紙税¥0メリットを享受できます。

司法書士に頼んだら追加でいくらかかる?

司法書士報酬の相場は¥50,000〜¥100,000(合同会社・電子定款込)です。設立費用(登録免許税¥60,000)に司法書士報酬を加えると、合計¥110,000〜¥160,000程度になります。司法書士に依頼する最大のメリットは、定款の文言・登記書類の不備リスクをゼロにできる点と、設立スピード(依頼から1〜2週間で完了)です。3社の会社設立サービス(マネフォ・freee・弥生)は基本料金がいずれも無料に近いため、登記の代理権限のある司法書士に丸投げするか、サービスで自動作成された書類を自分で法務局へ持っていくかの2択になります。

資本金はいくら必要?

会社法上の最低資本金は¥1(1円)ですが、実務的には¥100,000〜¥3,000,000の範囲で設定する例が多くなっています。資本金額の設定で注意すべき2点:①消費税の免税判定で資本金1,000万円未満なら設立から最大2期分の免税期間を得られる可能性がある(特定期間判定・インボイス登録要否で変動)、②法人住民税均等割の最低区分(¥70,000/年)は資本金1,000万円以下に限定される。逆に資本金が少なすぎる(¥1〜数万円)と、銀行口座開設・取引先からの信用面で不利になる場面があります。スタート時の運転資金として¥1,000,000前後を目安にする例が一般的です。

合同会社から株式会社へ組織変更できる?

できます。会社法第743条以下の組織変更手続き(株式会社化)で、合同会社から株式会社へ変更可能です。具体的には、組織変更計画の作成→社員全員の同意→債権者異議手続き(最低1ヶ月)→組織変更登記、という流れで進めます。登記の登録免許税は資本金×0.15%(最低¥30,000)に加え、株式会社の設立登記相当として¥30,000、合同会社の解散登記分として¥30,000の計¥90,000程度が目安です。「とりあえず合同会社で始めて、規模拡大したら株式会社へ」という運用は実務上一般的で、Google合同会社など大手日本法人にも採用例があります。

まとめ:最安ルートと最短ルートを使い分ける

  1. ステップ1:法人化の判断がまだ揺らいでいるなら法人化メリット判断ガイド

    所得500〜1,500万円の4パターンでシミュレーションを確認。損益分岐ゾーン(800〜1,000万円)を踏まえてから設立費用の比較に進む。

  2. ステップ2:合同会社か株式会社かを決定

    1人法人なら合同会社が運営コスト最小(決算公告不要・役員任期なし・設立費用¥160,000差)。外部出資・上場見据えなら株式会社。

  3. ステップ3:「自分で登記」か「サービス利用」か「司法書士へ依頼」を選択

    時給¥3,000以上で電子定款の機材を持たない人はサービス利用がトータルコスト最安。本業時給が高い人や書類不備リスクをゼロに近づけたい人は司法書士依頼も選択肢。

  4. ステップ4:実費を支払って登記申請

    合同会社最安¥60,000(電子定款+自分で登記)。サービス利用なら実費¥65,000〜¥85,000。マネフォ・freee・弥生のサービスは料金体系がほぼ横並びなので、設立後に使う会計ソフトの好みで選ぶのが現実的。

  5. ステップ5:設立後の役員報酬と社会保険料を最適化

    法人化直後の最大の論点は役員報酬の決定。役員報酬と社会保険料シミュレーターで月額の最適配分を試算し、必要に応じて事前確定届出給与も活用。

合同会社設立費用は「最安¥60,000・サービス利用でも実費¥85,000以内」が現実的なラインです。設立費用そのものよりも、設立後の法人住民税均等割¥70,000+社会保険料の法人負担+税理士顧問料のほうが継続的な経済負担として大きいため、設立費用の数万円差にこだわるより、自分の時間コストと書類不備リスクの観点で総合判断するのが合理的です。

出典・編集情報

本記事は、以下の公的機関の公表情報を一次ソースとして作成しています。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年5月21日

設立費用の試算は、上記一次ソースの法定額と各社サービスの公表情報をもとに記述しています。

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