法人税の電子申告(e-Tax)|自分で申告する手順と義務化の範囲

法人税の電子申告は、資本金1億円超の大法人がe-Taxで義務(法人税法75条の4・令和2年4月1日以後開始事業年度)、資本金1億円以下の中小法人は任意で紙申告も選べます。任意でも紙よりe-Taxが事実上の標準になりつつある理由、利用者識別番号・電子証明書・申告書作成ソフトという必要なもの、自分で電子申告する手順、国税はe-Tax・地方税はeLTAX(エルタックス)という別系統まで、一次ソースで整理します。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年6月5日

法人税の電子申告(e-Tax)の基本(令和8年度・2026年)

資本金1億円超の大法人はe-Taxが義務、1億円以下の中小法人は任意です。任意でも紙よりe-Taxが標準になりつつあります。国税と地方税は提出先システムが別です。

  • e-Tax義務 1億円超の大法人 令和2年4月1日以後開始事業年度から(法人税法75条の4)
  • 任意(紙も可) 1億円以下の中小法人 紙申告も選べるが実務はe-Taxが標準化
  • 2か月以内 申告期限 事業年度終了日の翌日から(法人税法74条)
  • 別系統 国税と地方税 国税=e-Tax/地方税=eLTAX
法人税の電子申告(e-Tax):自分で申告する手順と義務化の範囲を解説するアイキャッチ

結論:中小法人は義務ではないが、e-Taxが事実上の標準

法人税の「電子申告(e-Tax)」で最初に押さえるべきは、自社が義務の対象か任意かという線引きです。まず結論を整理します。

出典:e-Tax公式「電子申告の義務化の概要」ほか。令和8年度(2026年)時点。
論点内容ポイント
義務化の対象資本金1億円超の大法人令和2年4月1日以後開始事業年度からe-Taxが義務(法人税法75条の4)
中小法人(1億円以下)任意(紙申告も可)紙でも提出できるが実務はe-Taxが標準化
必要なもの3つ利用者識別番号・電子証明書・申告書作成ソフト
国税と地方税提出先が別国税=e-Tax/地方税=eLTAX(エルタックス)

この記事は、設立直後から数期目の1人法人・中小法人の経営者で、税理士に頼まず自分で(または会計ソフトを使って)法人税の申告を電子提出したい方向けに、電子申告という「提出手段」に絞って整理します。申告書(別表)の中身・書き方は法人税申告書(別表)の書き方を、決算から申告までの全体の流れは法人決算・申告の流れと期限を、そもそも自分でやるか税理士に頼むか迷う段階なら法人決算を自分でやるか税理士に頼むかをあわせてご覧ください。

①e-Tax義務化の対象範囲

「法人はe-Taxが義務」と聞いて不安になる方もいますが、義務化の対象は一定規模以上の大法人に限られています。自社が対象かどうかは、まず資本金(出資金)の額で判断します。

資本金1億円超の大法人は義務(令和2年4月1日以後)

e-Taxによる電子申告が義務付けられているのは(法人税法75条の4)、おおまかに資本金(出資金)の額が1億円超の内国法人などです。このほか、通算法人・相互会社・投資法人・特定目的会社も対象とされています。令和2年4月1日以後に開始する事業年度(消費税は課税期間)から適用されています。

出典:e-Tax公式「電子申告の義務化の概要」。
項目内容
対象法人資本金(出資金)1億円超の内国法人・通算法人・相互会社・投資法人・特定目的会社
対象税目法人税・地方法人税・消費税・地方消費税
対象手続確定申告・中間申告・修正申告・還付申告
適用開始令和2年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)

資本金1億円以下の中小法人は任意(紙でも可)

一方、資本金(出資金)が1億円以下の中小法人は、e-Tax申告は義務ではありません。紙の申告書を税務署に提出することも、e-Taxで電子提出することも選べます。設立直後の1人法人の多くは資本金1億円以下なので、この記事の主な読者は「義務ではないが、e-Taxを選べる」立場にあたります。

義務でなくても、e-Taxが事実上の標準になりつつある理由

中小法人はe-Taxが義務ではありませんが、実務ではe-Taxが標準的な提出方法になりつつあります。理由は、会計ソフトで作成した申告データをそのまま送信できること、税務署に出向かず自宅・事務所から提出できること、提出後の受信通知でデータが受け付けられたことを確認できることなどです。紙申告も引き続き選べますが、毎期の手間を考えると、設立後にe-Taxの利用環境を整えておくと申告がスムーズになります。

②法人税をe-Taxで申告するために必要なもの

法人がe-Taxで法人税を申告するために必要なものは、大きく分けて次の3つです。設立後にこの3つを準備しておけば、税務署に出向かずに申告データを送信できます。

出典:e-Tax公式「e-Taxをご利用になる場合の認証方式」ほか。
必要なもの内容取得・準備の方法
利用者識別番号e-Taxで本人を識別する16桁の番号電子申告等開始届出書を提出して取得
電子証明書申告データに電子署名するための証明書商業登記に基づく電子証明書/代表者のマイナンバーカード等
申告書作成ソフト別表等を作成・送信するソフト国税庁の無料ソフト/申告機能のある会計ソフト

利用者識別番号(開始届出で取得)

利用者識別番号は、e-Taxを利用する際に本人(法人)を識別するための16桁の番号です。e-Taxの利用を始めるには、まず電子申告等開始届出書を提出します。届出はオンラインでも行え、提出するとその場で利用者識別番号が発行されます。この番号と暗証番号で、以後e-Taxにログインして申告・各種手続きを行います。

電子証明書(マイナンバーカード/商業登記電子証明書)

e-Taxで申告データを送信するには、データが改ざんされていないこと・送信者が本人であることを示す電子証明書による電子署名が必要です。法人の申告で使える代表的な電子証明書には、次のものがあります。

出典:e-Tax公式「e-Taxをご利用になる場合の認証方式」。利用できる証明書はソフト・手続きにより異なる。
電子証明書の種類概要
商業登記に基づく電子証明書商業登記認証局(登記所)が発行する法人名義の電子証明書
代表者個人のマイナンバーカード公的個人認証サービス。代表者個人のカードで署名する方式
民間認証業者の電子証明書帝国データバンク等が発行する電子証明書(対応業者は公式参照)

1人法人では、代表者個人のマイナンバーカードを使う方式が比較的手軽です。一方、法人名義での電子署名が必要な場面では商業登記に基づく電子証明書を取得します。どちらを使えるかは利用するソフトや手続きによって変わるため、最新の対応関係はe-Tax公式サイトで確認してください。

申告書作成ソフト(国税庁の無料ソフト/会計ソフト)

申告データを作成・送信するソフトには、大きく2つの選択肢があります。1つは国税庁が無料で提供するソフト(e-Taxソフト・e-Taxソフト(WEB版)等)、もう1つは申告書作成機能を持つ会計ソフトです。

申告書作成ソフトの選択肢。会計ソフトの申告機能の対応範囲は各社サービスページを参照。
ソフトの種類費用特徴
国税庁の無料ソフト無料e-Taxソフト等で別表を直接作成・送信。手続きの自由度は高いが操作に慣れが必要
会計ソフトの申告機能各社の料金日々の記帳から決算書・申告書まで連携。対応する別表の範囲は各社で異なる

会計ソフトの申告書作成機能を使えば、日々の記帳から決算書・申告書の作成・電子申告までを一連の流れで進めやすくなる傾向があります。ただし、申告書作成機能の有無や対応する別表の範囲は各社のサービスで異なるため、自社に必要な別表に対応しているかを各社のサービスページで確認してから選んでください。

③自分でe-Tax申告する手順

必要なものがそろったら、おおまかに次の流れで自分でe-Tax申告を進められます。各ステップの具体的な操作は、利用するソフトの案内に沿って進めてください。

自分でe-Tax申告する場合の基本的な流れ。具体操作は各ソフトの案内に従う。
ステップ内容
1. 開始届出電子申告等開始届出書を提出し、利用者識別番号を取得する
2. 電子証明書の準備商業登記に基づく電子証明書、または代表者のマイナンバーカードを用意する
3. 申告データの作成国税庁の無料ソフトまたは会計ソフトで、別表・決算書等の申告データを作成する
4. 添付書類の準備財務諸表・勘定科目内訳明細書はデータで、法人事業概況説明書はイメージ添付で準備する
5. 電子署名・送信申告データに電子署名し、e-Taxで送信する
6. 受信通知の確認送信後に届く受信通知で、データが受け付けられたことを確認する

申告データで送る添付書類(イメージ不可のものに注意)

  • 財務諸表(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書)はデータで送信
  • 勘定科目内訳明細書もデータで送信(イメージ添付不可)
  • 法人事業概況説明書はイメージ(PDF等)での添付が可能
  • 添付書類の取扱いは変更されることがあるため、提出前に国税庁の案内で最新の取扱いを確認

申告期限は電子でも紙でも同じ「2か月以内」

提出方法が電子か紙かにかかわらず、法人税の申告期限は事業年度終了日の翌日から2か月以内です(法人税法74条)。e-Taxは税務署の開庁時間外でも送信できますが、期限ぎりぎりはシステムの混雑や操作ミスのリスクがあるため、余裕を持って準備するのが安全です。期限の全体像は法人決算・申告の流れと期限で整理しています。

④国税はe-Tax・地方税はeLTAX(別系統)

電子申告でつまずきやすいのが、国税と地方税で提出先のシステムが別だという点です。決算後に申告する税金は、国に納める国税と、都道府県・市区町村に納める地方税に分かれており、それぞれ別のポータルシステムで申告します。

出典:e-Tax公式/eLTAX(地方税ポータルシステム)。国税と地方税は別系統。
区分主な税目提出先システム
国税法人税・地方法人税・消費税e-Tax(国税電子申告・納税システム)
地方税法人住民税・法人事業税eLTAX(エルタックス/地方税ポータルシステム)

eLTAX(エルタックス)は、地方税の電子申告・納税を行うためのポータルシステムです。法人住民税・法人事業税を電子申告するには、eLTAXの利用手続き(利用者の登録・電子証明書の準備など)を別途行う必要があります。国税のe-Taxとは別システムのため、「国税はe-Tax、地方税はeLTAX」と分けて準備すると提出漏れを防げます。納付についても、ダイレクト納付はe-Taxと連携する仕組みで、納付方法の詳細は法人税の納付方法と期限で整理しています。

⑤e-Taxのメリットと注意点

電子申告は紙申告と比べて手間を減らせる場面が多い一方、準備や知識が必要な点もあります。中小法人が任意でe-Taxを選ぶ際の判断材料として整理します。

電子申告と紙申告の比較。中小法人はどちらも選べる。
観点e-Tax(電子申告)紙申告
提出自宅・事務所から送信できる税務署へ持参・郵送
受付確認受信通知でデータの受付を確認できる控えへの収受印(窓口)等で確認
会計ソフト連携作成データをそのまま送信しやすい出力して別途提出
事前準備利用者識別番号・電子証明書が必要特別な事前登録は不要

e-Taxのメリットは、税務署に出向かずに提出でき、受信通知で受付を確認できる点や、会計ソフトで作成したデータをそのまま送信しやすい点です。一方の注意点は、利用者識別番号や電子証明書の事前準備が必要なこと、そして電子・紙にかかわらず別表など申告書の中身を正しく作る理解が前提になることです。提出手段を電子にしても、申告書の内容そのものが簡単になるわけではない点は押さえておきましょう。

提出手段と申告書の中身は別の話

e-Taxはあくまで「提出の手段」です。法人税申告書の別表の作成や税額計算が正しくできているかは、電子か紙かとは別の問題です。別表の中身や書き方に不安がある場合は法人税申告書(別表)の書き方を確認し、複雑な論点があれば税理士への依頼も検討してください。自分でやるか税理士に頼むかの判断材料は法人決算を自分でやるか税理士に頼むかで整理しています。

よくある質問(FAQ)

中小法人でも法人税のe-Tax申告は義務ですか?

いいえ、資本金1億円以下の中小法人は義務ではなく任意です。e-Taxによる電子申告が義務付けられているのは、資本金(出資金)の額が1億円超の内国法人などで、令和2年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています(e-Tax公式)。資本金1億円以下の中小法人は、紙の申告書を税務署に提出することも、e-Taxで電子提出することも選べます。ただし、実務上は会計ソフトからそのまま電子提出できる手軽さなどから、中小法人でもe-Taxが事実上の標準になりつつあります。

法人がe-Taxを使うには何が必要ですか?

主に3つです。1つ目は「利用者識別番号」で、電子申告等開始届出書を提出すると取得できる16桁の番号です。2つ目は「電子証明書」で、法人なら商業登記に基づく電子証明書(商業登記認証局が発行)や、代表者個人のマイナンバーカードなどを使います。3つ目は「申告書を作成・送信するソフト」で、国税庁が無料で提供するソフト(e-Taxソフト等)か、申告書作成機能を持つ会計ソフトを使います。これらを準備すれば、税務署に出向かずに法人税の申告データを送信できます。

電子証明書は法人と代表者個人のどちらが必要ですか?

法人の申告では、法人名義の電子証明書(商業登記に基づく電子証明書)か、代表者個人のマイナンバーカードのいずれかを使うのが一般的です。商業登記に基づく電子証明書は、法人の登記を管轄する登記所で取得でき、法人名義での電子署名に使えます。一方、代表者個人のマイナンバーカードでも法人の申告データに電子署名できる場合があり、どちらの方式を使うかは利用するソフトや手続きによって異なります。最新の対応関係は、国税庁のe-Tax公式サイトで確認してください。

国税のe-Taxと地方税のeLTAXは何が違いますか?

提出する税目と運営システムが違います。国税である法人税・地方法人税・消費税は、国税庁の「e-Tax」で申告します。一方、法人住民税・法人事業税といった地方税は、地方税のポータルシステム「eLTAX(エルタックス)」で申告します。両者は別系統のため、それぞれで利用手続き(利用者の登録・電子証明書の準備など)が必要です。決算後は、国税はe-Tax、地方税はeLTAXと、提出先のシステムが分かれている点を押さえておくと、提出漏れを防げます。

会計ソフトを使えば法人税の電子申告まで全部できますか?

会計ソフトによって対応範囲が異なります。記帳・決算書の作成までは多くのクラウド会計ソフトが対応していますが、法人税申告書(別表)の作成・電子申告まで対応しているか、どの別表まで作れるかは各社のサービスで差があります。申告書作成機能の有無や対応する別表の範囲は、各社のサービスページで最新の内容を確認してください。複雑な別表が必要な決算や判断に迷う論点がある場合は、税理士に依頼することも選択肢になります。

出典・編集情報

このページは以下の国税庁・地方税ポータルの公的資料を一次ソースとして作成しています。内容は令和8年度(2026年)時点の制度に基づきます。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年6月5日

内容は令和8年度(2026年)の現行制度・国税庁等の公表資料に基づく一般的な解説で、個別の事案への適用を保証するものではありません。e-Tax義務化の対象範囲、電子証明書の種類・対応関係、添付書類の取扱い、申告書作成ソフトの対応範囲は制度改正や各社サービスの更新で変わります。実際の電子申告の手続きにあたっては、国税庁のe-Tax公式サイト・eLTAX公式サイトおよび利用するソフトの案内、必要に応じて税務署または税理士にご確認ください。

本ツールは令和8年度(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。