法人決算・申告の流れと期限|事業年度終了から2か月でやること

法人の決算・申告は事業年度終了の翌日から2か月以内が原則で、赤字でも申告義務があります。帳簿の締めから決算書作成・申告書作成・納付までの流れ、法人税・消費税・地方税の期限、申告期限の延長特例、中間申告、提出書類4種類を一次ソースで整理します。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年6月4日

法人の決算・申告の基本(令和8年度・2026年)

原則は事業年度終了の翌日から2か月以内。赤字でも申告は義務です。

  • 2か月以内 申告・納付の期限 事業年度終了日の翌日から
  • 申告は必要 赤字のとき 納税ゼロでも申告義務あり
  • 4種類 提出書類 別表・決算書・内訳明細・概況書
  • 原則1か月 延長特例 法人税法75条の2・要件あり
法人決算・申告の流れと期限:事業年度終了から2か月でやることを解説するアイキャッチ

結論:申告期限は事業年度終了から2か月以内、赤字でも義務

法人の決算・申告には、はっきりした期限があります。法人税の確定申告は、各事業年度終了日の翌日から原則2か月以内に申告・納付する義務があります(法人税法74条)。3月決算なら5月末、12月決算なら翌年2月末が期限の目安です。

もう一つ押さえておきたいのが、赤字でも申告は必要だという点です。所得がマイナスで納める法人税がなくても、申告書の提出義務はなくなりません。むしろ青色申告法人であれば、申告することで欠損金を翌期以降に繰り越せます。法人住民税の均等割は所得がゼロでも課税されるため、「赤字=申告も納税も不要」という理解は誤りです。

このページは、はじめて決算・申告を迎える1人法人・中小法人の経営者向けに、帳簿の締めから決算書・申告書の作成、申告・納付までの流れと、法人税・消費税・地方税それぞれの期限、申告期限の延長特例、中間申告、提出する書類4種類までを一次ソースに沿って整理します。

決算から申告・納付までの流れ

決算・申告は、大きく分けて「帳簿を締める→決算書を作る→申告書を作る→申告・納付する」という順序で進みます。事業年度終了日の翌日から2か月という限られた期間で行うため、何をいつやるかをあらかじめ把握しておくと慌てずに済みます。

決算・申告の基本的な流れ(事業年度終了から2か月以内に完了させる)
ステップやること時期の目安
1. 帳簿の締め(決算整理)売上・経費の計上漏れ確認、棚卸、減価償却費・未払費用の計上など期末の調整事業年度終了直後
2. 決算書の作成貸借対照表・損益計算書などの決算報告書をまとめる終了後〜1か月程度
3. 申告書の作成決算書をもとに法人税の別表・地方税・消費税の申告書を作成終了後1〜2か月
4. 申告・納付税務署・自治体へ申告書を提出し、税額を納付事業年度終了の翌日から2か月以内

ステップ1:帳簿の締め(決算整理)

まず日々の記帳を締めて、その事業年度の損益を確定させます。売上・仕入・経費の計上漏れがないかを点検し、棚卸資産の評価、固定資産の減価償却費の計上、未払費用・前払費用の調整といった決算整理を行います。ここが正確でないと、後工程の決算書・申告書もずれてしまうため、決算作業の土台になる工程です。

ステップ2:決算書(決算報告書)の作成

締めた帳簿をもとに、貸借対照表・損益計算書などの決算報告書を作成します。会社の財政状態と1年間の経営成績をまとめる書類で、株主総会の承認を経て確定します。後述する提出書類の中核になる部分です。

ステップ3:申告書の作成

確定した決算書をもとに、法人税の申告書(別表)、法人住民税・法人事業税といった地方税の申告書、課税事業者であれば消費税の申告書を作成します。会計上の利益と税務上の所得は一致しないため、別表で加算・減算の調整を行って課税所得を計算します。ここが個人の確定申告と比べてもっとも複雑になりやすい工程です。

ステップ4:申告・納付

作成した申告書を税務署(法人税・消費税)と都道府県・市区町村(法人住民税・法人事業税)へ提出し、税額を納付します。申告と納付の期限はどちらも、事業年度終了日の翌日から原則2か月以内です。期限を過ぎると無申告加算税・延滞税などのペナルティが生じるため、逆算してスケジュールを組んでおくことが大切です。ダイレクト納付・クレジットカード・コンビニといった具体的な納付方法や延滞税の扱いは、法人税の納付方法と期限でまとめています。

設立直後にやること:青色申告の承認申請

新しく設立した法人は、決算・申告の前提として早めに青色申告の承認申請を済ませておくのが基本です。青色申告には欠損金の繰越控除などのメリットがあり、適用を受けるには承認申請書の提出が必要です。新設法人の提出期限は、設立後3か月を経過した日と第1期事業年度終了日のいずれか早い日の前日まで(法人税法122条)。設立初期は提出物が多いため、期限のあるものから順に片付けておくと安心です。

申告期限|法人税・消費税・地方税それぞれ2か月以内

法人にかかる主な税金は、いずれも事業年度(課税期間)終了日の翌日から原則2か月以内が申告・納付の期限です。提出先は税目ごとに分かれますが、期限の考え方は共通なので、まとめて押さえておくと管理しやすくなります。

出典:法人税法74条/消費税法45条・国税庁タックスアンサー No.6601/地方税は国税と同じ期限
税目申告・納付の期限提出先根拠
法人税(国)事業年度終了日の翌日から2か月以内税務署法人税法74条
消費税(課税事業者)課税期間終了日の翌日から2か月以内税務署消費税法45条・No.6601
法人住民税・法人事業税(地方)事業年度終了日の翌日から2か月以内都道府県・市区町村国税と同じ期限

たとえば3月決算(事業年度が4月1日〜3月31日)の法人なら、3月31日の翌日から2か月後の5月31日が原則の期限です。12月決算なら翌年2月末、9月決算なら11月末、というように、自社の決算月から2か月後を期限として逆算します。

消費税は「課税事業者」だけが申告する

消費税の確定申告が必要なのは、課税事業者の場合だけです。基準期間の課税売上高が1,000万円以下などで免税事業者になっている法人は、消費税の申告自体が不要です。自社が課税事業者か免税事業者かは、新設法人の特例やインボイス登録の有無によっても変わります。判定の考え方は法人化と消費税|2年免税の仕組みで整理しています。

申告期限の延長特例(法人税法75条の2)

決算や株主総会の都合で2か月以内に申告が間に合わない場合に備えて、申告期限の延長特例があります(法人税法75条の2)。定款で定時株主総会が事業年度終了後3か月以内に開催されない定めがある場合などに、申告期限を原則1か月延長できる制度です。

この特例を使うには、あらかじめ「申告期限の延長の特例の申請書」を税務署へ提出しておく必要があります。決算間際になって慌てて延ばせるものではなく、事前の手続きが前提になる点に注意してください。

延びるのは申告期限だけ・納付は2か月以内

重要なのは、この特例で延長できるのは申告の期限であって、納付の期限ではないという点です。延長した期間に対応する分には利子税がかかります。実務上は、見込みの税額を当初の2か月以内に納付しておき、確定後に精算する形で利子税を抑える対応がとられることがあります。延長の細かい要件や利子税の具体的な扱いは個別事情で変わるため、適用を検討する場合は税務署または税理士に確認してください。

中間申告(予定申告)が必要になるケース

法人税には、事業年度の途中で一度納税する中間申告(予定申告)の仕組みがあります。年1回の確定申告とは別に、期の途中で前払い的に納める制度です。

中間申告が必要になるのは、おおむね前事業年度の確定法人税額が20万円を超える場合です(法人税法71条)。前期の税額がこれ以下の法人や、赤字だった法人は対象外になることが多くあります。また設立1期目は前期が存在しないため、原則として中間申告は不要です。

中間申告のポイント

  • 対象になるのは、おおむね前期の確定法人税額が20万円超の法人
  • 設立1期目は前期がないため原則不要
  • 前期が赤字・税額が小さい法人は対象外になることが多い
  • 対象になる場合は、事業年度開始から6か月を経過した日から2か月以内に中間申告・納付

中間納付した税額は、期末の確定申告で精算されます。自社が中間申告の対象になるかどうかは前期の納税額で決まるため、初めての決算で判断に迷う場合は、前期の申告内容をもとに税務署または税理士に確認すると確実です。中間申告の正確な税額の計算方法は条文上やや細かいため、本ページでは「対象になるかどうか」の目安にとどめています。予定申告と仮決算のどちらが有利になるか、税額の具体的な計算方法は法人税の中間申告で詳しく解説しています。

提出する書類4種類

法人税の申告では、決算書だけでなく複数の書類をセットで提出します。主なものは次の4種類です。個人の確定申告と比べて作成する書類が多いのが、法人の申告の特徴です。

法人税申告で提出する主な書類4種類
書類内容
法人税申告書(別表)会計上の利益に加算・減算の調整を加えて課税所得・法人税額を計算する一連の表
決算報告書貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表
勘定科目内訳明細書預貯金・売掛金・買掛金・借入金などの内訳を勘定科目ごとに明細化した書類
法人事業概況説明書事業内容・従業員数・取引状況・月別の売上などをまとめた書類

① 法人税申告書(別表)

会計上の利益(決算書の当期純利益)と、税務上の所得は一致しません。交際費の損金不算入や減価償却の超過額など、税法独自のルールで加算・減算の調整を行い、課税所得と法人税額を計算するのが別表です。複数の別表が連動するため、申告書作成の中心となる工程です。

② 決算報告書

貸借対照表(B/S)・損益計算書(P/L)・株主資本等変動計算書・個別注記表をまとめた書類です。会社の財政状態と経営成績を示すもので、別表の計算の出発点になります。

③ 勘定科目内訳明細書

預貯金・売掛金・買掛金・借入金・役員報酬などの内訳を、勘定科目ごとに明細化して示す書類です。決算書の数字の中身を税務署が確認できるようにするためのもので、相手先名や残高などを記載します。

④ 法人事業概況説明書

事業内容・主要な取引先・従業員数・月別の売上や仕入などをまとめ、会社の概況を伝える書類です。決算書や別表の数字を補足する位置づけで、税務署が事業の実態を把握するために提出します。

電子申告(e-Tax)は中小法人なら任意

資本金1億円超の大法人は、法人税・消費税などの電子申告(e-Tax)が義務づけられています(法人税法75条の4)。一方、資本金1億円以下の中小法人や1人法人は、電子申告は任意で、紙での提出も選べます。とはいえ、書類が多い法人の申告は電子申告のほうが作成・提出を効率化しやすく、会計ソフトと連携して進める方法が広く使われています。

自分でやるか税理士に頼むか

決算・申告の全体像が見えてくると、次に迷うのが「自分でやるか、税理士に頼むか」です。会計ソフトを使えば1人法人でも自力で申告まで進められる一方、別表の調整や勘定科目内訳明細書の作成は専門性が高く、税理士に任せたほうが安心という考え方もあります。

費用と手間のバランス、税務調査への備え、本業に充てる時間など、判断材料は人によって異なります。それぞれのメリット・デメリットと費用感は法人決算は自分でやるか税理士に頼むかで詳しく整理しているので、あわせて確認してください。また、決算で実際にどんな税金がいくらかかるのかは法人が払う税金の種類で解説しています。

よくある質問(FAQ)

赤字で納める税金がなくても、法人の確定申告は必要ですか?

必要です。法人税の確定申告は、所得がプラスでもマイナスでも、各事業年度終了日の翌日から原則2か月以内に行う義務があります(法人税法74条)。赤字(欠損)の場合でも申告書を提出することで、青色申告法人なら欠損金を翌期以降に繰り越して将来の黒字と相殺できるなどのメリットがあります。さらに、法人住民税の均等割は所得がゼロでも課税されるため、納める税金が完全にゼロになるわけではありません。「赤字だから申告しなくてよい」という理解は誤りで、無申告は加算税・延滞税のリスクにつながります。

法人税・消費税・地方税は、それぞれ別の期限ですか?

原則は同じタイミングです。法人税(国)・法人住民税と法人事業税(地方)・消費税(課税事業者の場合)は、いずれも事業年度(課税期間)終了日の翌日から2か月以内が申告・納付の期限です。3月決算の法人であれば、3月31日の翌日から数えて5月31日が原則の期限になります。提出先は法人税・消費税が税務署、法人住民税・法人事業税が都道府県・市区町村と分かれますが、期限の考え方は共通です。なお、消費税は免税事業者であれば申告自体が不要です。

決算が間に合いそうにありません。期限を延ばせますか?

一定の要件を満たせば、法人税の申告期限を原則1か月延長できる特例があります(法人税法75条の2)。定款で定時株主総会が事業年度終了後3か月以内に開催されない定めがある場合などが対象で、事前に「申告期限の延長の特例の申請書」を提出しておく必要があります。ただし延長できるのは申告期限であって、納付の期限は延びない点に注意が必要です。延長した期間に対応する分には利子税がかかります。要件や利子税の具体的な扱いは個別事情で変わるため、適用を考える場合は税務署または税理士に確認してください。

設立して間もない法人ですが、最初に何をしておくべきですか?

設立直後にまず検討したいのが青色申告の承認申請です。青色申告には欠損金の繰越控除など多くのメリットがあり、適用を受けるには承認申請書を期限内に提出する必要があります。新設法人の場合の提出期限は、設立後3か月を経過した日と第1期事業年度終了日のいずれか早い日の前日までです(法人税法122条)。このほか、給与を支払うなら給与支払事務所等の開設届出なども必要になります。提出物が多いため、設立初期は税務署の案内や税理士の助言を受けながら、提出期限のあるものから順に片付けるのが安全です。

中間申告は必ず必要ですか?

必ずではありません。法人税の中間申告(予定申告)が必要になるのは、前事業年度の確定法人税額がおおむね20万円を超える場合です(法人税法71条)。設立1期目は前期がないため、原則として中間申告は不要です。前期の税額が小さい法人や赤字だった法人も対象外になることが多くあります。対象になる場合は、事業年度開始から6か月を経過した日から2か月以内に中間申告・納付を行います。自社が対象になるかどうかは前期の納税額で決まるため、判断に迷う場合は税務署または税理士に確認してください。

出典・編集情報

このページは以下の法令・国税庁タックスアンサーを一次ソースとして作成しています。内容は令和8年度(2026年)時点の制度に基づきます。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年6月4日

本記事の内容は令和8年度(2026年)の現行法令・国税庁タックスアンサーに基づく一般的な解説で、個別の事案への適用を保証するものではありません。申告期限の延長特例の要件・利子税の扱い、中間申告の対象判定や税額計算、提出書類の詳細は、決算月・事業内容・前期の納税額などによって変わります。具体的な決算・申告の手続きや期限の管理にあたっては、税務署または税理士にご確認ください。

本ツールは令和8年度(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。