法人にかかる税金の種類と実効税率|何にいくら払うのか

法人が払う税金は主に5種類。法人税(年800万円以下15%)・地方法人税・法人住民税(均等割は赤字でも¥70,000〜)・法人事業税・消費税の中身と、利益に対する実質負担=実効税率の目安を一次ソースで整理します。大法人の法定実効税率は29.74%。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年6月2日

法人が払う税金は主に5種類。実質負担は「実効税率」で見る

法人税は利益が小さいうちは15%。住民税の均等割は赤字でも毎年かかります。利益に対する実質的な負担は、複数の税を合わせた実効税率で把握するのが正確です。

  • 主に5種 税金の種類 法人税・地方法人税・住民税・事業税・消費税
  • 15% 法人税(中小) 年800万円以下の所得部分
  • ¥70,000〜 住民税均等割 赤字でも課税(最低額)
  • 29.74% 実効税率(大法人) 法人税率23.2%ベース・財務省
法人にかかる税金の種類と実効税率を解説するガイド記事のアイキャッチ

結論:税金は主に5種類、実質負担は実効税率で見る

法人になると、個人事業のときの「所得税・住民税・消費税」とは構成が変わり、払う税金は主に5種類になります。利益(所得)に連動する4種類と、課税事業者にかかる消費税です。

出典:法人税法66条・地方法人税法・地方税法52条/312条・消費税法。税率は令和8年度(2026年)時点の標準的な値。
税金区分何に対してかかるか小規模法人の目安
①法人税国税所得(もうけ)年800万円以下は15%/超は23.2%
②地方法人税国税法人税額法人税額の10.3%
③法人住民税地方税法人税額+定額(均等割)均等割は赤字でも¥70,000〜
④法人事業税・特別法人事業税地方税所得所得区分ごとの税率(自治体により異なる)
⑤消費税国税・地方税課税売上(課税事業者のみ)課税事業者なら納付義務

ポイントは2つあります。1つ目は、住民税の均等割は赤字でもかかること。所得に連動する法人税・事業税は赤字なら原則ゼロですが、均等割だけは「法人として存在していること」に対する税なので、利益が出ていない年でも最低¥70,000(小規模法人・標準税率)を納めます。

2つ目は、利益に対する実質的な負担は個々の税率を足すだけでは分からないこと。法人事業税は翌期の損金になるなど税同士が影響し合うため、まとめて見た「実効税率」で把握するのが正確です。以下で5種類を1つずつ確認し、最後に実効税率を整理します。申告の流れと期限は法人決算・申告の流れと期限を、自分でやるか税理士に頼むかは決算を自分でやる vs 税理士に頼むをあわせてご覧ください。

①法人税(国税)— 年800万円以下は15%

法人税は、法人の所得(もうけ)に対してかかる国税で、5種類の中の中心です。資本金1億円以下の中小法人の場合、税率は所得の金額で二段階に分かれます(法人税法66条・租税特別措置法42条の3の2)。

中小法人の法人税(資本金1億円以下)

年800万円以下の所得部分 … 税率 15%

年800万円を超える所得部分 … 税率 23.2%

たとえば所得が1,000万円なら、800万円までが15%、残り200万円が23.2%という形で、それぞれの帯に対応する税率をかけて合計します。所得が小さいうちは15%で抑えられるのが、中小法人の大きな利点です。

所得が年10億円を超える大規模法人の例外

令和7年4月以後に開始する事業年度では、所得が年10億円を超えるような大規模法人について、年800万円以下部分の税率が15%ではなく17%になります。ただしこれは相当な規模の法人が対象で、1人法人や小規模な中小法人にはほぼ関係しません。設立直後〜数年の法人であれば、まず「800万円以下15%・超は23.2%」を基本として理解しておけば十分です。

②地方法人税(国税)— 法人税額の10.3%

地方法人税は名前に「地方」とつきますが、国税です。所得に直接かかるのではなく、計算した法人税額に対して一定率をかける、いわば法人税の上乗せ分です。

地方法人税の計算

地方法人税額 = 法人税額 × 10.3%

税率は法人税額の10.3%です(地方法人税法)。たとえば法人税額が100万円なら、地方法人税は¥103,000となります。所得そのものに対する負担としては、法人税率15%に対しておよそ1.5%程度の上乗せにあたります。地方という名前ながら国に納め、その後に国から地方へ配分される仕組みのため、納税者の手続きとしては法人税とあわせて申告・納付します。

③法人住民税 — 均等割は赤字でもかかる

法人住民税は地方税で、都道府県に納める「道府県民税」と市区町村に納める「市区町村民税」の2つから成ります(東京23区は都に一括)。それぞれが「法人税割」「均等割」の2つで構成されているのが特徴です。

法人住民税の構成

法人税割 = 法人税額 × 税率(標準税率:都道府県民税1.0% + 市区町村民税6.0%)

均等割 = 所得に関係なく定額(小規模法人・標準税率で年 ¥70,000〜)

法人住民税 = 法人税割 + 均等割

法人税割は、地方法人税と同じく法人税額に税率をかけて計算します。標準税率では都道府県民税1.0%+市区町村民税6.0%で、所得が赤字で法人税額がゼロなら法人税割もゼロです。

一方の均等割は、所得に関係なく定額でかかるのが最大の注意点です。資本金等の額が1,000万円以下で従業員50人以下の小規模な法人の場合、標準税率で道府県民税¥20,000+市区町村民税¥50,000=年¥70,000が最低額です(地方税法52条・312条)。

赤字でも毎年¥70,000は出ていく

個人事業主は赤字なら所得税・住民税の所得割はかかりませんが、法人は赤字でも均等割の最低¥70,000は毎期発生します。「とりあえず法人を作っておいて休眠させる」場合でも、解散・休眠手続きをしない限り均等割の課税対象になり得ます。資本金等の額が大きくなると均等割の金額も段階的に上がるため、資本金の設定時にあわせて意識しておくとよいでしょう。

④法人事業税・特別法人事業税

法人事業税は、法人が事業を行うことに対して都道府県に納める地方税で、原則として所得に対してかかります。あわせて、事業税に上乗せして国に納める特別法人事業税があります(事業税額に一定率を乗じて計算)。

税率は所得の区分(年400万円以下・年800万円以下・年800万円超など)ごとに段階的に設定されています。ただし、税率には自治体ごとの違いがある点が他の税と異なります。

東京都など自治体により税率が異なる(超過課税)

法人事業税には全国共通の「標準税率」がありますが、東京都など一部の自治体では標準税率より高い「超過税率」が適用される場合があります。そのため、同じ所得でも所在地によって事業税の負担は変わります。具体的な税率は所在地の都道府県のウェブサイトや都道府県税事務所、税理士で確認してください(本記事では自治体ごとの具体的な税率は断定しません)。

事業税は翌期の損金になる

法人税・住民税は損金(経費)にできませんが、法人事業税は支払った年度の翌期に損金算入できるのが特徴です。この「損金になる/ならない」の違いがあるため、各税の税率を単純に足し合わせても実質負担は出ません。これが、次に説明する実効税率という考え方が必要になる理由です。

⑤消費税(課税事業者の場合)

消費税は、ここまでの4つと性質が異なります。法人税・住民税・事業税が「もうけ(所得)」に対する税なのに対し、消費税は課税売上を基準に計算する税で、課税事業者だけが納付義務を負います。預かった消費税から、自分が支払った消費税(仕入税額控除)を差し引いた差額を納めるのが基本の仕組みです。

法人成りの場合、新設法人は基準期間がないため要件を満たせば最大2期は免税になり得ますが、資本金1,000万円以上やインボイス(適格請求書)登録をすると課税事業者になります。免税の条件・インボイスの判断・2割特例の期限など、消費税の詳細は別記事で整理しています。

消費税の判定詳細は専用記事へ

消費税は「いくら払うか」より「そもそも課税事業者になるか・免税を活かせるか」の判定が重要で、論点が多いため本記事では概要にとどめます。資本金・特定期間・インボイス登録の3つの落とし穴や2割特例の期限は、法人化と消費税|「2年免税」の仕組みとインボイス時代の注意点で一次ソースに沿って解説しています。

実効税率とは|利益に対する実質負担の目安

実効税率とは、法人税・地方法人税・住民税・事業税をまとめて見たときに、利益(所得)に対して実質的に何%の税負担になるかを表す指標です。前述のとおり、法人事業税が翌期の損金になるなど税同士が影響し合うため、各税率を単純に足し算しただけでは正確な負担が出ません。そこで、それらの相互作用を織り込んで計算したのが法定実効税率です。

財務省の資料では、法人税率23.2%が適用される大法人の法定実効税率は29.74%とされています(2018年度以降)。利益のうち、おおよそ3割が税として出ていく水準だと捉えるイメージです。

中小法人(年800万円以下)の実効税率は約25%前後(概算・参考値)

中小法人で所得が年800万円以下の場合は、法人税率が15%と低いため、実効税率も大法人より低くなります。ただし、この帯の法定実効税率には一次ソース上の確定した計算値が存在しません。一般に概算・参考値としておおむね25%前後とされることが多いものの、これは事業税の超過課税の有無・自治体ごとの税率差・均等割の定額負担などで上下するあくまで目安です。正確な負担率は、自社の所得金額・所在地・資本金をもとに試算する必要があります。

なお、実効税率はあくまで「所得に連動する税」をまとめた指標で、赤字でもかかる住民税の均等割(最低¥70,000)や消費税は別建てです。「利益の約3割(大法人)/約25%前後(中小・概算)が所得連動の税、それとは別に均等割が毎年定額」という二層構造で押さえると、法人の税負担の全体像をつかみやすくなります。自分の数字で個人事業と法人の手取りを比べたいときは個人事業 vs 法人 手取り比較シミュレーターを併用してください。

よくある質問(FAQ)

法人になると税金は何種類かかりますか?

利益(所得)に対してかかる税金として、①法人税(国税)、②地方法人税(国税)、③法人住民税(地方税)、④法人事業税・特別法人事業税(地方税)の4つがあります。これに加えて、課税事業者であれば⑤消費税の納付義務があり、合わせて主に5種類です。このうち法人税・地方法人税・住民税の法人税割・事業税は「もうけ(所得)」に連動しますが、住民税の均等割だけは所得に関係なく定額でかかります。

赤字でも払わなければいけない税金はありますか?

あります。法人住民税の「均等割」は、その年が赤字(所得ゼロ)でも納付しなければなりません。資本金等が1,000万円以下・従業員50人以下の小規模な法人の場合、標準税率で年¥70,000(道府県民税¥20,000+市区町村民税¥50,000)が最低額です。所得に連動する法人税・事業税などは赤字なら原則かかりませんが、均等割は「法人として存在していること」に対する税のため、利益の有無にかかわらず毎期発生します。

法人税は利益の何%ですか?

資本金1億円以下の中小法人の場合、所得のうち年800万円以下の部分は15%、800万円を超える部分は23.2%です(法人税法66条・租税特別措置法42条の3の2、国税庁タックスアンサーNo.5759)。たとえば所得が1,000万円なら、800万円までが15%、残り200万円が23.2%という二段階で計算します。なお令和7年4月以後に開始する事業年度では、所得が年10億円を超えるような大規模法人は800万円以下部分も17%になりますが、1人法人や小規模法人にはほぼ関係しません。

結局、利益に対してどれくらい税金がかかりますか?

複数の税を合わせた「実効税率」で見るのが正確です。財務省の資料では、法人税率23.2%が適用される大法人の法定実効税率は29.74%とされています。一方、中小法人で所得が年800万円以下の場合は法人税率が15%と低くなりますが、この帯の法定実効税率には一次ソース上の確定した計算値がなく、参考値・概算として実質負担はおおむね25%前後とされることが多いものの、事業税の超過課税や自治体ごとの税率差で変動する目安にすぎません。正確な税額は所得金額・所在地・資本金で変わるため、申告時には税理士の試算で確認することをおすすめします。

法人事業税の税率はいくらですか?

法人事業税・特別法人事業税は所得に応じた税率で、所得区分(年400万円以下・800万円以下・800万円超など)ごとに段階的に設定されています。さらに、東京都など一部の自治体では標準税率ではなく「超過税率」が適用され、標準税率と異なる場合があります。税率は所在地の自治体や資本金規模によって変わるため、具体的な税率は所在地の都道府県のウェブサイトや、税理士・都道府県税事務所で確認してください。なお法人事業税は、翌年度の損金に算入できる点が法人税・住民税と異なります。

出典・編集情報

このページは以下の法令・公的資料を一次ソースとして作成しています。内容は令和8年度(2026年)時点の標準的な制度に基づきます。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年6月2日

内容は令和8年度(2026年)の標準的な制度に基づく一般的な解説で、個別の事案への適用を保証するものではありません。法人事業税・特別法人事業税の税率や法人住民税の超過税率は自治体により異なり、本ページで示した実効税率のうち中小法人(年800万円以下)の約25%前後は概算・参考値です。実際の税額は所得金額・所在地・資本金・各種特例の適用状況によって変わるため、具体的な税額の試算・申告については税務署または税理士にご確認ください。

本ツールは令和8年度(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。