役員報酬の議事録テンプレ|期首・臨時・業績悪化減額の3パターンと必須記載7項目

役員報酬の議事録テンプレを3パターン(期首3か月以内改定・臨時改定事由・業績悪化減額)の文例で並列提示。必須記載7項目チェックリスト、税務調査で否認されやすい不備例まで令和8年度ルールで解説します。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年5月22日

役員報酬議事録の基本データ(令和8年度)

改定タイミングで議事録の書き方が変わります。1つでも記載漏れがあると改定差額が損金不算入のリスク。

  • 3パターン テンプレ 期首改定/臨時改定/業績悪化減額
  • 7項目 必須記載 決議日・改定額・新旧月額・改定理由ほか
  • 法人税法34条 根拠条文 損金算入の3類型
  • 9-2-13 通達 業績悪化改定事由の判定
役員報酬の議事録テンプレ:期首改定・臨時改定・業績悪化減額の3パターンと必須記載7項目を解説するアイキャッチ

結論:議事録は「3パターン×7項目」で揃う

役員報酬の議事録は、改定タイミングによって 3パターンに分けて作成します。期首3か月以内の通常改定臨時改定事由(職制変更等)業績悪化減額の3場面で、書く内容と添付すべき根拠書類が変わります。一方で、どのパターンでも必須となる記載項目は 7項目共通です。

ここでは、3パターンの議事録テンプレ文例・必須記載7項目チェックリスト・税務調査で否認されやすい不備例を、令和8年度(2026年4月以降)の現行法令・通達に沿って解説します。役員報酬の決め方そのものから検討している方は 役員報酬の決め方 を、改定後の手取り影響を試算したい方は 役員報酬 中期手取りシミュレーター をご利用ください。

議事録が必要になる3場面

法人税法34条1項1号(定期同額給与)の改定が認められるのは、原則として 3つのタイミングに限られます。これ以外の時期に役員報酬を改定した場合、増額分・減額後の支給額が全額損金不算入となる可能性があります(国税庁タックスアンサーNo.5211)。

出典:法人税法34条1項1号イ・ロ・ハ/国税庁タックスアンサーNo.5211
場面タイミング議事録で書くべき主な内容
期首3か月以内の通常改定事業年度開始日から3か月以内改定額・新旧月額・改定理由(業績見通し等)
臨時改定事由による改定事由発生日から速やかに職制変更等の客観的事由・変更前後の役職
業績悪化改定事由による減額事由発生日から速やかに経営悪化の客観的事実・第三者関与の証拠

場面1:期首3か月以内の通常改定

事業年度開始日から3か月以内に株主総会(または社員総会)で決議すれば、業績見通し・経営方針の変更などを理由に役員報酬を自由に改定できます。特別な客観的事由は不要で、実務で頻度の高いパターンです。毎期この3か月以内に必ず決議を行い、議事録を残すのが実務の定石です。

場面2:臨時改定事由(職制変更等)

期首3か月を過ぎた後でも、「役員の職制上の地位の変更」「職務の内容の重大な変更」その他これらに類するやむを得ない事情があれば改定が認められます(法人税法34条1項1号ロ)。たとえば、平取締役から代表取締役への昇格、組織再編で部門統括役員へ就任、子会社設立に伴い親会社役員が出向、などのケース。議事録には「事由の客観性」を残すことが重要です。

場面3:業績悪化による減額

経営状況が著しく悪化した場合、期中でも減額改定が認められます(法人税法34条1項1号ハ・基本通達9-2-13)。ただし「一時的な資金繰りの都合」「単に業績目標値に達しなかった」だけでは認められず、金融機関からの融資条件・取引先との合意・債権者調整など第三者との関係維持上やむを得ない客観的事実が必要です(タックスアンサーNo.5211)。減額のみ可で増額は認められません。議事録には客観的事実を詳細に記載します。

改定実務の全体像から知りたい方へ

このページは「議事録の書き方」に絞っています。改定の手続き・期限・社会保険料への影響・税務リスクなど改定実務の全体像は 役員報酬の改定実務 で解説しています。

期首3か月以内改定の議事録テンプレ

事業年度開始から3か月以内に開く定時株主総会で、定期同額給与の改定を決議するのが実務で標準的なパターンです。3か月以内なら理由は問われないため、「業績見通しの変動」「事業方針の見直し」程度の簡潔な記載で問題ありません。下のテンプレ文例をそのまま使う代わりに、会社名・氏名・金額・決議日を入れて完成版を作りたい場合は 役員報酬の議事録ジェネレーター をご利用ください。

株主総会議事録の例(株式会社)

定時株主総会議事録

令和8年5月20日午前10時00分より、当社本店会議室において定時株主総会を開催した。

株主の総数 1名

発行済株式の総数 100株

議決権を行使できる株主の総数 1名

議決権を行使できる株主の議決権数 100個

出席株主数 1名

出席株主の議決権数 100個

出席取締役 代表取締役 山田太郎

定刻、定款の規定により代表取締役 山田太郎が議長席に着き、開会を宣し、本日の議事に入った。

第1号議案 令和8年度 取締役報酬額改定の件

議長は、当期(令和8年4月1日〜令和9年3月31日)の事業計画に基づき、取締役の報酬額を以下のとおり改定したい旨を述べ、その議案について諮ったところ、満場一致をもってこれを承認可決した。

代表取締役 山田太郎 月額 旧 700,000円 → 新 800,000円

改定実施月 令和8年6月支給分より適用

改定理由  令和8年度事業計画における業績見通しの変動に伴う改定

議長は以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、午前10時20分閉会した。

上記決議を明確にするため、本議事録を作成し、議長および出席取締役が次に記名押印する。

令和8年5月20日

○○株式会社 定時株主総会

議長 兼 出席取締役 代表取締役 山田太郎 ㊞

合同会社の場合(社員総会決議書)

合同会社では株主総会が存在しないため、「社員総会決議書」または「社員の同意書」として書面を作成します。表題と冒頭の機関名称を変える以外は、株式会社の議事録とほぼ同じ構成です。

社員総会決議書(合同会社用)

令和8年5月20日、当社本店において、業務執行社員全員の同意のもと、以下のとおり決議した。

社員総数 1名(業務執行社員 山田太郎)

出席社員 1名

議題 令和8年度 業務執行社員報酬額改定の件

当期(令和8年4月1日〜令和9年3月31日)の業務執行社員の報酬額を以下のとおり改定する旨を全員一致で決定した。

代表社員 山田太郎 月額 旧 700,000円 → 新 800,000円

改定実施月 令和8年6月支給分より適用

改定理由  令和8年度事業計画における業績見通しの変動に伴う改定

令和8年5月20日

○○合同会社 業務執行社員 山田太郎 ㊞

取締役会議事録の例(取締役会設置会社)

取締役会設置会社では、株主総会で「取締役の報酬総額の上限」を定めたうえで、各取締役への個別配分を取締役会で決議する2段階構造が一般的です。1人法人・取締役会非設置会社の場合はこのステップは不要です。

取締役会議事録(個別配分の決議)

令和8年5月20日午前11時00分より、当社本店会議室において取締役会を開催した。

取締役総数 3名 出席取締役数 3名

監査役総数 1名 出席監査役数 1名

定刻、議長 代表取締役 山田太郎が開会を宣し、本日の議事に入った。

議題 取締役個別報酬額の決定の件

議長より、本日開催の定時株主総会で承認された取締役の報酬総額(月額200万円以内)に基づき、各取締役への個別配分を以下のとおり決定したい旨が提案され、出席取締役全員の賛成により承認可決した。

代表取締役 山田太郎 月額 800,000円

取締役   佐藤次郎 月額 600,000円

取締役   鈴木花子 月額 500,000円

改定実施月 令和8年6月支給分より適用

令和8年5月20日 ○○株式会社 取締役会

議長 代表取締役 山田太郎 ㊞

出席取締役 佐藤次郎 ㊞  鈴木花子 ㊞

出席監査役 田中三郎 ㊞

記載のポイント

期首改定の議事録で押さえるべき点

  • 決議日が事業年度開始から3か月以内であることを日付で示す
  • 改定額は「旧月額」「新月額」を併記(差額が一目で分かるように)
  • 改定実施月を明示(決議月の翌月以降の支給分から適用が原則)
  • 改定理由は「業績見通しの変動」「事業計画の見直し」程度で簡潔に
  • 議長および出席取締役の署名押印を当日中に済ませる

決議日と改定実施月の前後関係に注意

決議日より前の月にさかのぼって新月額を適用すると、遡及増額として差額が損金不算入になります(実務で最も多い事故パターン)。例:5月20日決議で「5月支給分から新月額」と書くと、5月支給分の差額が損金不算入扱いになるリスク。決議日以降の支給分から適用するのが安全です。

臨時改定事由の議事録テンプレ

事業年度の途中でも、役員の職制上の地位の変更職務内容の重大な変更があれば、それを理由として役員報酬を改定できます(法人税法34条1項1号ロ)。よくあるケース:

臨時改定事由として認められやすい典型ケース

  • 平取締役から代表取締役への昇格(職制上の地位の変更)
  • 常勤取締役から非常勤取締役への変更(または逆)
  • 組織再編により部門統括役員に就任(職務内容の重大な変更)
  • 子会社設立に伴い、親会社役員が子会社代表に就任・親会社業務との兼務
  • M&A・株主変更に伴う経営陣の交代

職制変更・昇格のケース

臨時株主総会議事録(昇格に伴う改定)

令和8年10月15日午前10時00分より、当社本店会議室において臨時株主総会を開催した。

株主の総数 2名 出席株主数 2名

議決権を行使できる株主の議決権数 200個 出席議決権数 200個

出席取締役 代表取締役 山田太郎 / 取締役 佐藤次郎

定刻、代表取締役 山田太郎が議長席に着き、開会を宣し、本日の議事に入った。

第1号議案 取締役 佐藤次郎の代表取締役就任および取締役報酬額改定の件

議長は、令和8年10月1日付で取締役 佐藤次郎を代表取締役に昇格させ、これに伴い同氏の月額報酬を改定する旨を以下のとおり提案し、満場一致で承認可決した。

佐藤次郎 役職 取締役 → 代表取締役(令和8年10月1日付)

月額報酬 旧 500,000円 → 新 800,000円

改定実施月 令和8年11月支給分より適用

改定理由  令和8年10月1日付で代表取締役に昇格し、職制上の地位の変更があったため(法人税法34条1項1号ロ該当)

令和8年10月15日 ○○株式会社 臨時株主総会

議長 代表取締役 山田太郎 ㊞

出席取締役 佐藤次郎 ㊞

記載のポイント(事由の客観性を残す)

臨時改定事由の議事録は、「いつ・どのような事由が・どのように発生したか」を客観的事実として明記することが重要です。事由の発生日と決議日のタイムラグが大きいと、税務調査で「後付けの理由ではないか」と疑われる可能性があります。

臨時改定事由の議事録で必ず書くこと

  • 事由の発生日(昇格日・組織変更日・出向開始日など)
  • 具体的な職制・職務内容の変更内容(旧役職→新役職を明示)
  • 法人税法34条1項1号ロ該当と条文番号を引用
  • 事由発生日から速やかに(遅くとも1か月以内)決議
  • 可能であれば、登記簿の変更・組織図の改定・出向辞令等の根拠書類を別途保管

「単なる業務拡大」は臨時改定事由にならない

「事業規模が拡大したから役員報酬を上げる」「忙しくなったから上げる」のような 主観的・定性的な理由は臨時改定事由として認められません。あくまで「職制上の地位の変更」「職務内容の重大な変更」という客観的・形式的な事実が必要です。客観的事由がない場合は、期首3か月以内の通常改定に合わせて改定するのが安全です。

業績悪化減額の議事録テンプレ

業績悪化を理由とする減額改定は、基本通達9-2-13で要件が明示されています。「経営状況の著しい悪化」「第三者との関係維持上やむを得ない事情」「債権者調整等の事情」のいずれかに該当する必要があり、議事録には客観的事実と第三者関与の根拠を詳細に記載することが求められます。

基本通達9-2-13に沿った記載例

臨時株主総会議事録(業績悪化に伴う減額)

令和8年11月10日午前10時00分より、当社本店会議室において臨時株主総会を開催した。

株主の総数 1名 出席株主数 1名

議決権を行使できる株主の議決権数 100個 出席議決権数 100個

出席取締役 代表取締役 山田太郎

定刻、代表取締役 山田太郎が議長席に着き、開会を宣し、本日の議事に入った。

第1号議案 業績悪化に伴う取締役報酬額改定(減額)の件

議長は、当期の経営状況および取引金融機関からの要請を踏まえ、取締役報酬を減額する必要が生じた旨を以下のとおり説明し、その議案について諮ったところ、満場一致をもってこれを承認可決した。

<業績悪化の客観的事実>

1. 主要取引先A社(売上比率45%)が令和8年9月30日付で取引縮小を通告

2. 当期上半期売上は前期同期比 △38% で推移、下半期見通しも △30%超の悪化

3. 取引銀行B行より令和8年10月25日付で融資条件見直しの要請書を受領(別添)

4. 融資継続条件として、役員報酬および販管費の削減を含む経営改善計画の提出を求められた

<改定内容>

代表取締役 山田太郎 月額 旧 800,000円 → 新 500,000円(△ 300,000円)

改定実施月 令和8年12月支給分より適用

改定理由  法人税法34条1項1号ハ・基本通達9-2-13に定める業績悪化改定事由(第三者との関係維持上やむを得ない事情)に該当するため

添付書類  B行融資条件見直し要請書(写)/A社取引縮小通告書(写)/当期上半期業績推移表

令和8年11月10日 ○○株式会社 臨時株主総会

議長 代表取締役 山田太郎 ㊞

「売上が落ちた」だけでは認められない

業績悪化改定事由について、「一時的な資金繰りの都合」「単に業績目標値に達しなかったこと」は含まれないとされています(法人税基本通達9-2-13の解釈・国税庁タックスアンサーNo.5211で解説)。社内事情だけで減額を判断するのではなく、第三者(金融機関・取引先・債権者)との関係性で減額が必要となった客観的事実を議事録に残すことが重要です。

業績悪化減額の議事録で揃えるべき客観的事実

  • 金融機関からの要請書(融資契約継続条件として役員給与減額が求められた等の証跡)
  • 主要取引先の倒産・撤退・取引縮小通告(売上比率と影響額を数値で示す)
  • 債権者集会の議事録(私的整理・債権者調整のケース)
  • 第三者(コンサル・監査法人)の経営改善計画書
  • 当期業績の前年同期比推移表(具体的な悪化度合いを数値で示す)

認められにくい「主観的減額」の典型

  • 単に売上・利益が前年比で下がった(外部要因の言及なし)
  • 「赤字決算になりそうだから」役員報酬を下げたい
  • 社長個人の判断のみで第三者の関与がない
  • 事業年度終了直前の駆け込みで減額した
  • 減額後の支給額が「ちょうど赤字回避できる金額」になっている(恣意性が疑われる)

業績悪化改定事由の判定は税理士相談を推奨

業績悪化改定事由の該当性は、申告後の税務調査で否認されるリスクが残るグレー領域です。減額判断の前に、税理士と一緒に「客観的事実が揃っているか」「第三者関与の証拠が残っているか」を確認し、議事録の文言まで詰めてから決議するのが安全です。

必須記載7項目チェックリスト

議事録の3パターン(期首改定・臨時改定・業績悪化減額)に共通する 必須記載7項目を一覧化しました。書き終わった議事録に対して、以下7項目すべてが揃っているかを確認してください。

3パターン共通の必須記載7項目(会社法318条・施行規則72条/法人税法34条1項1号)
#項目記載例根拠
1決議日令和8年5月20日会社法318条・改定3か月ルールの起算点
2開催場所当社本店会議室会社法施行規則72条3項1号
3改定額(新月額・旧月額)旧700,000円→新800,000円改定差額の損金算入判定の前提
4改定実施月令和8年6月支給分より適用遡及増額の防止
5改定理由業績見通しの変動/職制変更/業績悪化パターン別に客観性を確保
6出席役員(議長・取締役)議長 山田太郎/出席取締役 佐藤次郎会社法施行規則72条3項3号・4号
7署名・押印議長および出席取締役の記名押印会社法施行規則72条3項6号

議事録の保管期間は10年

作成した株主総会議事録は、本店に10年間備え置く義務があります(会社法318条2項)。支店設置会社は支店に5年間の写しの備え置きも必要。税務調査でも遡及して提示を求められる可能性があるため、紙原本のスキャンPDFをクラウドストレージに保管しておくと安全です。

よくある不備と税務調査リスク

議事録の不備が原因で改定差額が損金不算入とされる事案は、税務調査の現場で実際に発生しています。以下の3つは特に再発の多い典型パターンです。議事録の最終チェック項目に以下3点を追加するだけで、否認リスクを大きく減らせます

不備1:改定理由が曖昧

議事録に「役員報酬を改定する」とだけ書き、新旧月額や改定理由が明記されていないパターン。期首3か月以内なら理由は簡潔でも問題ありませんが、「旧月額→新月額」の対比と「改定実施月」は必須です。1人法人で「自分1人で決めたから書き残さなくても良い」と判断するのは誤り。税務調査で「決定根拠が無い」と指摘され、改定差額の損金算入を否認される事案があります。

この不備パターンの直し方

旧月額・新月額・改定実施月・改定理由の4点を必ず議事録に書く。期首改定なら「業績見通しの変動に伴う改定」程度で十分。臨時改定・業績悪化減額は、客観的事由を詳細に書く。

不備2:決議日と改定実施月が逆転

5月20日決議で「5月支給分から新月額」のように、決議日より前の支給分にさかのぼって新月額を適用するパターン。遡及増額は差額が損金不算入になります(実務で最頻出の事故)。決議日の翌月支給分以降を適用月とするのが原則。減額の場合も同様で、決議日より前の支給分への遡及減額は損金算入の問題が残ります。

この不備パターンの直し方

決議日 ≦ 改定実施月の支給日 が成り立つように日付を設計する。例:5月20日決議なら、6月支給分(多くの会社で6月25日支給)から適用。月末締め翌月払いなら、5月分の給与(6月支給)から新月額が適用されるよう注意。

不備3:押印・署名漏れ

議事録は作成したものの、議長・出席取締役の署名押印が漏れているパターン。株主総会議事録の署名押印は会社法上の明文義務ではないものの、実務上は議長および出席取締役の記名押印を残すのが定着しており、押印のない議事録は税務調査時の証拠能力が弱まります(取締役会議事録は会社法369条3項で明文義務)。直前に慌てて追加押印するのは「日付の整合性」を疑われる原因にもなります。株主総会の当日中に署名押印を済ませるルーチン化が安全策です。

この不備パターンの直し方

定時株主総会のスケジュールに「議事録署名押印」を含めて、当日中に完了させる。1人法人でも自分1人の印鑑で押印する。漏れに気づいたら速やかに追加押印し、追加押印日を別途記録する(後付け感を残さない)。

よくある質問(FAQ)

1人法人で株主も取締役も自分だけの場合、議事録は本当に作る必要がありますか?

必要です。会社法318条は株主総会議事録の作成を義務付けており、株主・取締役が1人でも例外はありません。1人法人の場合は「出席株主:本人1名・議決権数:発行済全株式」「議長:本人」「出席取締役:本人」と記載し、自分1人で議事録に署名・押印します。税務調査で「役員報酬の決定根拠は?」と問われた際、議事録が無いと改定差額の損金算入を否認されるリスクがあります。期首3か月以内に必ず作成し、本店に10年間保管してください(会社法318条2項)。

合同会社には株主総会がありませんが、議事録はどう作りますか?

合同会社は社員総会または「同意書(社員の決定書)」で代用します。合同会社法上、株主総会に相当する法定機関はありませんが、業務執行社員の報酬決定には社員の同意が必要(会社法593条4項・定款で別段の定めがある場合を除く)。実務では「社員総会決議書」または「社員の同意書」を作成し、株主総会議事録と同じ7項目(決議日・改定額・新旧月額・改定理由・出席社員・議長・署名)を記載します。1人合同会社の場合も「社員の決定書」として書面を残し、税務調査時の根拠書類とします。

取締役会設置会社では、株主総会議事録と取締役会議事録の両方が必要ですか?

原則として両方必要です。取締役会設置会社では、株主総会で「取締役全員の報酬総額」を決議し、各取締役への配分を取締役会で決議する2段階構造が一般的(会社法361条)。よって株主総会議事録(総額の決議)と取締役会議事録(個別配分の決議)の両方を作成します。取締役会非設置会社(1人法人・小規模法人の多くが該当)は株主総会議事録のみでOK。自社がどちらの形態かは登記事項証明書の「取締役会設置会社」欄で確認できます。

議事録を作成するタイミングは、株主総会の当日でなくても良いですか?

会社法上は「遅滞なく」作成すれば足り(会社法318条1項)、当日でなくても問題ありません。実務では、株主総会の当日に議題と決議内容のメモを残し、後日清書して議長・出席取締役の署名押印をもらう運用が一般的です。ただし、税務上は「事業年度開始から3か月以内の決議」が必要なため、議事録の作成日付ではなく決議日付が3か月以内であることが重要。決議日と実際の改定実施日(給与計算への反映)の前後関係も意識して書きましょう。

議事録に押印・署名漏れがあった場合、後から追加で押印しても有効ですか?

原則として可能ですが、税務調査の直前に慌てて追加押印するのは避けましょう。株主総会議事録への議長・出席取締役の署名押印は、会社法上の明文義務ではないものの、議事録の証拠能力を担保する慣習として実務上定着しています(取締役会議事録は会社法369条3項で明文義務)。漏れに気づいた時点で速やかに追加押印し、追加押印日を別途記録しておくのが安全です。税務調査で「決議日と署名日に大きな差がある」「証拠書類の信頼性が低い」と判断されると、改定差額の損金算入を否認される事案もあります。期首改定の議事録は、株主総会当日中の署名押印を社内ルーチン化するのが安全策です。

→ 改定後の手取り影響を試算する

出典・編集情報

この記事は以下の公的機関・法令の公表情報を一次ソースとして作成しています。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年5月22日

この記事の内容は令和8年度(2026年4月以降)の現行法令・基本通達・タックスアンサーに基づく一般的な解説で、個別事案への適用を保証するものではありません。掲載する議事録テンプレートは標準的な記載例であり、各社の組織形態(株式会社/合同会社/取締役会設置/非設置)・改定パターン・添付書類の有無により実際の記載項目は変動します。臨時改定事由・業績悪化改定事由の該当性は個別事案ごとに国税不服審判所・裁判所の判断が分かれるグレー領域があり、実際の議事録作成・税務対応にあたっては税理士・税務署にご相談ください。

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