役員社宅で家賃を経費化|賃貸料相当額の計算と3区分判定【令和8年度】

役員社宅は会社が借りた住宅を役員に貸し付け、賃貸料相当額以上を徴収することで家賃を経費化できる節税策。小規模住宅・一般住宅・豪華社宅の3区分で計算式が異なり、役員は使用人と違って「賃貸料相当額の100%徴収」が必要です(50%ルールは使用人のみ)。所基通36-40〜36-42を一次ソースに、計算式・区分判定・借上社宅の「大きい方ルール」を実例付きで解説。令和8年度の最新ルール準拠。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年5月27日

役員社宅で押さえる4つの数字

3区分の判定基準と計算式の核となる料率

  • 木造132m²/木造以外99m² 小規模住宅の床面積 これ以下なら小規模住宅
  • 建物0.2% + 敷地0.22% 小規模住宅 賃貸料相当額 プラス12円×(m²÷3.3)
  • 計算額 vs 家賃50% 一般住宅(借上)の比較ルール 大きい方を採用
  • 240m²超で総合勘案 豪華社宅の判定 該当時は時価家賃で課税
役員社宅で家賃を経費化:賃貸料相当額の計算と3区分判定(小規模住宅・一般住宅・豪華社宅)を解説するアイキャッチ

結論:役員社宅は「3区分判定×賃貸料相当額の100%徴収」が原則

役員社宅は、会社が住宅を借りる(または所有する)形で役員に貸し付け、賃貸料相当額以上を役員から徴収することで 家賃部分を法人の経費 にできる節税策です。個人で家賃を払う場合は給与から手取りでの支出になりますが、法人契約にして社宅化すれば、会社負担分は損金算入できる上、役員の社会保険料・所得税の対象にもなりません(賃貸料相当額以上を徴収している場合)。

ただし、節税効果をしっかり出すには 3つの区分判定計算式に基づく徴収額の設定 が必要です。区分は「小規模住宅/一般住宅/豪華社宅」の3つで、床面積と物件の性質で振り分けます(所基通36-40〜36-42)。徴収額は区分ごとに異なる計算式で求めた賃貸料相当額の 100%以上 を徴収しなければ、不足分が現物給与として給与課税されます。

よく誤解されるのが「役員社宅は50%徴収でOK」という情報です。これは 使用人社宅 のルール(所基通36-47)であり、役員社宅には適用されません。役員は賃貸料相当額の全額徴収が原則で、ここを誤ると税務調査で差額全額が否認されるリスクがあります。

役員社宅の節税効果の仕組み

個人で借りる vs 法人で借りて社宅化

家賃月額15万円の賃貸を、個人で借りる場合と法人で借りて役員社宅化した場合を比較します(小規模住宅・賃貸料相当額が月3万円と仮定)。役員報酬は税引前で同じ金額を想定し、家賃の支払い経路だけが変わるケースです。

月額家賃15万円・小規模住宅・賃貸料相当額3万円のモデルケース
項目個人で借りる場合法人契約・社宅化した場合
家賃の支払者役員個人(給与の手取りから)会社が貸主に直接支払い
会社の経費計上額0円15万円(家賃全額)
役員からの徴収月3万円(賃貸料相当額)
会社の実質負担0円12万円(15万円-3万円)
役員の給与課税なし(個人の手取りから支出)なし(賃貸料相当額以上を徴収)
役員の手取りへの影響家賃15万円全額が手取りから出る徴収3万円のみ手取りから出る

法人契約にして社宅化すると、会社は 家賃15万円のうち徴収3万円を差し引いた12万円 を実質負担しますが、この12万円は法人の経費(地代家賃)として損金算入できます。役員側は手取りからの支出が月3万円に圧縮され、差額の12万円分が「会社経由で家賃に充てられる」格好になります。

法人の実効税率を中小法人の標準帯(おおよそ25〜34%・所得帯による)と仮定すると、年間の家賃差額12万円×12か月=144万円が新規に損金算入されることで、法人税は概算で年36万〜49万円程度減る 計算になります(個人で家賃を払っていたケースとの差分)。役員側も賃貸料相当額以上を徴収していれば給与課税は発生しないため、所得税・社会保険料への上乗せも原則ありません。

経費化できる範囲と現物給与のラインの考え方

経費化できるのは、あくまで 会社が支払う家賃から賃貸料相当額(または徴収額)を差し引いた額 です。徴収額を賃貸料相当額未満にすると、不足分は 現物給与 として役員の給与所得に算入されます(所得税法36条1項)。この現物給与は損金算入されますが、役員の所得税・住民税・場合により社保の対象となるため、節税効果が大きく削がれます。

役員社宅の節税効果を最大化するには、賃貸料相当額をきちんと計算し、その額ちょうど(または若干上回る額)を徴収する設計が定石です。

役員社宅の3区分判定(所基通36-40〜36-42)

役員社宅の賃貸料相当額の計算式は、物件の区分によって3つに分かれます。区分判定のフローは以下の通りです。

役員社宅の3区分判定フロー

  • Step 1: 豪華社宅判定。床面積240m²超は取得価額・支払賃貸料・内外装等を総合勘案して判定/240m²以下でもプール等嗜好性の高い設備があれば豪華社宅 → 該当時は時価家賃で課税
  • Step 2: 小規模住宅判定。床面積が木造132m²以下/木造以外99m²以下 → 小規模住宅(イ+ロ+ハの合計)
  • Step 3: 上記いずれにも該当しない → 一般住宅((①+②)÷12、借上は家賃50%と比較して大きい方)

小規模住宅(木造132m²以下/木造以外99m²以下)

最も多くの1人法人が該当する区分です。木造(耐用年数省令別表第1で耐用年数30年以下の住宅用建物)は床面積132m²以下、木造以外(鉄筋コンクリート造等で耐用年数30年超)は99m²以下が条件です(所基通36-41)。区分所有のマンションの場合は専有部分の床面積に共用部分を按分加算して判定します。

1人法人の役員が住む一般的なマンション・アパートはほぼこの小規模住宅の範囲に収まるため、節税効果が最も大きく出る区分です。計算式は3要素(イ+ロ+ハ)の合計で、固定資産税課税標準額をベースに計算します。

一般住宅(小規模住宅・豪華社宅以外)

床面積が小規模住宅の基準を超え、かつ豪華社宅にも該当しないものです。広めの戸建てや大型マンションが該当します。計算式は「建物の固定資産税課税標準額×12%(木造以外は10%)+敷地の固定資産税課税標準額×6%」を12で割って月額換算した額(所基通36-40)です。

借上社宅(会社が他から借りて役員に貸す)の場合は、上記の自社所有計算額と 会社が貸主に支払う家賃の50% を比較し、いずれか大きい方が賃貸料相当額となります。これが後述する「大きい方ルール」です。

豪華社宅(床面積240m²超 or 嗜好性設備)

節税効果が出ない区分です。判定基準は2系統あります。

  • 定量基準: 床面積240m²超の物件は、取得価額・支払賃料・内外装の状況等を総合勘案して個別判定(豪華社宅該当の可能性が高い)
  • 定性基準: 240m²以下でも、プール・サウナ・著しく豪華な内装等「役員個人の嗜好を著しく反映した設備」があれば豪華社宅と判定

豪華社宅は 通常支払うべき使用料に相当する額(時価家賃) が賃貸料相当額となるため、会社の家賃支出≒徴収すべき額となり、家賃を経費化するメリットがほぼ消えます。役員社宅で節税を狙うなら、物件選定の段階で豪華社宅判定を避けることが重要です。

賃貸料相当額の計算式(区分別)

計算式の核となる数値は 固定資産税課税標準額 です。これは各自治体から毎年5〜6月頃に届く固定資産税の納税通知書(または固定資産税課税明細書)に記載されている 「課税標準額」 の欄であり、「固定資産税額」や「評価額」とは別物です。混同すると計算結果が大きくずれるため、明細書の正しい欄を参照してください。

小規模住宅の計算式(イ+ロ+ハ)

小規模住宅の賃貸料相当額(月額)は、以下の3要素の合計で求めます(所基通36-41・タックスアンサーNo.2600)。

小規模住宅の賃貸料相当額(月額)

賃貸料相当額 = イ + ロ + ハ

= 建物の固定資産税課税標準額 × 0.2%

= 12円 × (建物の総床面積m² ÷ 3.3m²)

= 敷地の固定資産税課税標準額 × 0.22%

具体例として、専有面積60m²のマンション(建物の課税標準額600万円・敷地の課税標準額1,000万円)の場合を計算してみます。

計算例:60m²マンション(建物600万・敷地1,000万)

= 6,000,000 × 0.2% = 12,000円

= 12円 × (60 ÷ 3.3) = 12 × 18.18 ≒ 218円

= 10,000,000 × 0.22% = 22,000円

合計(月額の賃貸料相当額) = 12,000 + 218 + 22,000 = 34,218円

この場合、月3万4,218円以上を役員から徴収すれば給与課税は発生しません。仮にこの60m²マンションを会社が借上で月15万円を貸主に支払っていれば、差額の約11万6,000円が法人の経費として損金算入されます。

一般住宅(自社所有)の計算式

自社所有の一般住宅(小規模住宅以外)は、以下の計算式で月額換算します(所基通36-40)。

一般住宅(自社所有)の賃貸料相当額(月額)

賃貸料相当額 = (① + ②) ÷ 12

= 建物の固定資産税課税標準額 × 12%(木造以外は10%)

= 敷地の固定資産税課税標準額 × 6%

一般住宅(借上)の「大きい方」ルール

借上社宅(会社が他から借りて役員に貸す)の一般住宅は、上記の自社所有計算額と 会社が貸主に支払う家賃の50% を比較し、いずれか大きい方 が賃貸料相当額となります(所基通36-40)。

一般住宅(借上)の賃貸料相当額(月額)

賃貸料相当額 = max( (① + ②) ÷ 12 , 会社支払家賃 × 50% )

= 建物の固定資産税課税標準額 × 12%(木造以外は10%)

= 敷地の固定資産税課税標準額 × 6%

「大きい方」ルールの落とし穴

借上社宅で「会社支払家賃の50%以上を徴収すれば足りる」と思い込み、自社所有計算式(①+②)÷12 と比較していないケースが頻発します。例えば家賃月20万円の物件で「50%の10万円徴収でOK」と判断しても、(①+②)÷12 が月12万円なら、12万円が賃貸料相当額となり、差額2万円が給与課税対象になります。借上の場合は 必ず両方計算して大きい方 を採用してください。

豪華社宅は通常家賃(時価家賃)

豪華社宅は 通常支払うべき使用料に相当する額(時価家賃) が賃貸料相当額となります。実質的に「相場家賃の全額を役員から徴収する」必要があり、会社の家賃支出と相殺されて経費化メリットがほぼ消えます。豪華社宅判定を避けるため、節税目的なら床面積240m²以下・嗜好性設備なしの物件選定が前提となります。

「役員は50%徴収でOK」は誤り(使用人と役員の差)

役員社宅の解説で頻繁に見られる誤情報が「役員は賃貸料相当額の50%以上を徴収すれば給与課税なし」というものです。これは 使用人(従業員) に適用される所基通36-47のルールであり、役員には適用されません

使用人社宅(No.2597)と役員社宅(No.2600)の主要差異
項目使用人(従業員)役員
計算式常に小規模住宅の式(イ+ロ+ハ)3区分で異なる(小規模/一般/豪華)
非課税要件賃貸料相当額の50%以上を徴収賃貸料相当額の100%以上を徴収
豪華社宅区分なしあり(240m²超等)
根拠通達所基通36-45・36-47所基通36-40・36-41・36-42
タックスアンサーNo.2597No.2600

使用人:賃貸料相当額の50%以上(所基通36-47)

使用人については、所基通36-47で「使用者が使用人から実際に徴収している賃貸料が、通常の賃貸料の額の50%相当額以上であれば、経済的利益はないものとする」と明文で定められています。使用人社宅の計算式は常に小規模住宅の式(イ+ロ+ハ)が適用される点も特徴です。

役員:賃貸料相当額の100%以上(所基通36-40〜36-42)

役員には所基通36-40・36-41・36-42に基づく区分別の計算式があり、いずれも 賃貸料相当額の全額徴収 が前提です。50%ルールは適用されません。実務上「役員でも50%」という説明が出回ることがありますが、根拠通達を確認すると役員には該当する条文がなく、所基通36-40〜36-44のいずれにも50%徴収の特例は存在しません。

誤情報のパターン

ネット記事で「役員は50%」と書かれているケースは、以下のいずれかの混同が原因です。

  • 使用人ルールとの混同: 36-47を役員にも適用できると誤読
  • 借上社宅の「大きい方ルール」との混同: 一般住宅・借上の場合の「会社家賃の50%との比較」を、徴収額の50%ルールと取り違え
  • 古い情報の引用: 過去の通達改正前の情報を更新せずに掲載

判断に迷う場合は、国税庁タックスアンサー No.2600 と所得税基本通達 36-40〜36-42 を直接確認するのが確実です。

実務手順(設立前後の準備)

賃貸借契約は法人名義

役員社宅の前提は 賃貸借契約の名義が法人 であることです。個人名義の契約のままで「実質的に法人が家賃を負担している」状態にすると、税務上は給与の一部(家賃手当)と評価される可能性があり、社宅としての扱いが認められません。

法人化の前から賃貸を借りている場合は、設立後できるだけ早く貸主に名義変更を申し入れます。多くの賃貸借契約では名義変更に貸主の承諾が必要で、保証会社との再契約・敷金の積み増しを求められることもあります。名義変更が困難なら、現契約を解約して法人名義で再契約する選択肢も検討します。

社宅規程の整備

役員社宅であることの実態を税務調査時に示すには、社宅規程 の整備が安全策となります。1人法人でも規程は必要で、最低限以下の項目を含めます。

  • 社宅利用の対象者(役員・使用人の区別)
  • 賃貸料相当額の計算方法(小規模住宅/一般住宅/豪華社宅の区分判定基準)
  • 役員からの徴収額の決定方法と徴収方法(給与天引きか別途振込か)
  • 社宅利用の開始・終了の手続き
  • 退去時の原状回復・敷金精算の取り扱い

社宅規程の雛形はインターネット上にも存在しますが、自社の実態に合わせた調整が必要です。税理士・社労士に作成依頼するか、税理士相談で個別事情を踏まえた規程を整備するのが確実です。

固定資産税課税標準額の取得方法

計算式の核となる 固定資産税課税標準額 は、以下のいずれかの方法で取得します。

  • 自社所有の場合: 毎年5〜6月に届く固定資産税の納税通知書または固定資産税課税明細書を確認
  • 借上社宅の場合: 貸主に固定資産税課税明細書のコピーまたは課税標準額の開示を依頼
  • 貸主が開示しない場合: 物件所在地の市区町村役場で 固定資産税評価証明書 を借主資格で取得(賃貸借契約書の提示が必要)

課税標準額は3年に1度の評価替えで変動するため、評価替え年(直近は令和6年度・次回は令和9年度)には再計算が必要です。所基通36-42に基づき、改訂後の第1期納期限の翌月分から新額で計算します。

新築・課税標準額未定の場合

新築物件で課税標準額がまだ確定していない場合は、所基通36-42に基づき「状況類似住宅の課税標準額に比準する価額」で計算します。実務上は近隣の類似物件の課税標準額を参考にするか、税理士に判断を仰ぐのが安全です。

失敗パターン3種(個人名義契約・社宅規程不備・徴収不足)

失敗パターン1:個人名義契約のまま家賃だけ会社が支払う

賃貸借契約が個人名義のまま、家賃の振込元だけ会社にして「実質社宅」として運用するパターンです。税務調査では 家賃手当(給与の一部) として評価される可能性が高く、会社負担分が役員の給与課税対象となります。所得税・住民税・社保の対象となり、節税効果が大きく削がれます。法人契約への切替は手間と費用がかかりますが、節税効果を得るには必須のステップです。

失敗パターン2:社宅規程なし・賃貸料相当額の計算根拠が不明

社宅規程が整備されておらず、賃貸料相当額の計算書・固定資産税課税明細書も保管していないと、税務調査時に 「役員社宅としての実態」を立証できません。徴収額が賃貸料相当額以上であっても、計算根拠を示せなければ「給与の一部」と評価されるリスクがあります。社宅規程・計算書・課税明細書・賃貸借契約書・給与天引きの帳簿記録の5点セットを揃えるのが安全です。

失敗パターン3:賃貸料相当額未満の徴収(特に借上の「大きい方ルール」見落とし)

最も頻発するのが、徴収額が賃貸料相当額に届いていないケースです。特に借上社宅の一般住宅では「会社支払家賃の50%以上を徴収すればOK」と思い込み、自社所有計算式(①+②)÷12 を計算していないと、不足額が給与課税対象になります。借上一般住宅では 両方計算して大きい方 を採用する原則を守ってください。徴収額は計算結果ちょうどではなく、端数を切り上げて若干上回る額に設定するのが安全です。

これら3つは1人法人で「自分の会社だから細かいことは大丈夫」という感覚で踏みがちな落とし穴です。役員社宅は節税効果が大きい代わりに、形式要件(契約名義・規程・計算根拠・徴収額)を1つでも欠くと効果が一気に消失する制度です。設計の段階で5点セット(契約書・規程・計算書・課税明細書・帳簿)の整備を前提に組むのが安全です。

よくある質問(FAQ)

個人で借りた賃貸を法人契約に切り替えるだけで役員社宅になりますか?

原則的にはなります。ただし、賃貸借契約の名義を個人から法人に変更し、貸主の承諾を得て、法人が家賃を直接支払う形にする必要があります。多くの賃貸借契約では「名義変更には貸主の事前承諾が必要」「法人契約への切替は再審査」が条件になっており、貸主によっては保証会社との再契約を求められます。名義変更ができない場合は、現契約を一旦解約して法人名義で再契約する形になり、敷金・礼金・仲介手数料が再度発生します。社宅化のメリットと切替コストを天秤にかけて判断してください。

役員社宅の賃貸料相当額は1円単位で計算する必要がありますか?

計算は1円単位で行いますが、徴収額自体は端数を切り上げて設定するのが安全です。例えば計算上は月12,547円であれば、徴収額を13,000円としておけば賃貸料相当額以上の要件を満たします。逆に切り下げて12,000円にすると547円分が給与課税対象になります。固定資産税課税標準額は3年に1度の評価替えで変動するため、課税標準額が改訂された場合は所基通36-42に基づき改訂後の第1期納期限の翌月分から新額で再計算が必要です。年1回の固定資産税課税明細書到着時に見直すのが実務的です。

社宅家賃の徴収額は社会保険の標準報酬月額に含まれますか?

社宅の経済的利益のうち、賃貸料相当額と実際徴収額の差額(給与課税される部分)は標準報酬月額の算定に含まれます。賃貸料相当額以上を徴収していて給与課税が発生しない場合は、原則として標準報酬月額には影響しません。ただし、社宅費用の徴収方法(給与天引きか別途振込か)・現物給与の評価額の判断は実務上複雑なため、役員社宅導入時は社労士・税理士の確認を推奨します。役員社会保険料の全体像は役員報酬の社会保険料を参照してください。

豪華社宅に該当すると節税効果はゼロですか?

ゼロというよりは、節税効果が出ない設計になります。豪華社宅は「通常支払うべき使用料に相当する額(時価家賃)」が賃貸料相当額となるため、会社が支払う家賃≒徴収すべき額となり、家賃を経費化するメリットがほぼ消えます。豪華社宅の判定は床面積240m²超のほか、240m²以下でもプール・サウナ等の嗜好性の高い設備や、取得価額・支払賃料・内外装の状況を総合勘案して個別判断されます。節税目的なら床面積240m²以下・嗜好性設備なしの一般住宅または小規模住宅の範囲で物件を選ぶのが基本です。

社宅規程がないと税務調査で否認されますか?

社宅規程の不備自体が直接否認理由になるわけではありませんが、否認リスクは大きく上がります。役員社宅であることの実態(法人名義契約・賃貸料相当額の計算根拠・徴収額の妥当性)を税務調査時に示すには、社宅規程・賃貸借契約書・固定資産税課税明細書・賃貸料相当額の計算書・給与天引きの帳簿記録の5点セットが揃っているのが安全です。1人法人でも社宅規程は整備すべきで、雛形は税理士・社労士に依頼するか、税理士相談で個別事情を踏まえた規程を作成してもらうのが確実です。

出典・編集情報

このページは以下の公的機関・法令の公表情報を一次ソースとして作成しています。

執筆: 法人化ナビ編集部 / 最終更新: 2026年5月27日

内容は令和8年度(2026年)の現行法令・国税庁タックスアンサー・所得税基本通達に基づく一般的な解説で、個別の事案への適用を保証するものではありません。豪華社宅の判定・社宅規程の整備・固定資産税課税標準額の取得方法は事業の実態・物件の性質で個別に変動します。役員社宅の導入にあたっては、税理士・社労士にご相談ください。

本ツールは令和8年度(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。